1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04205057
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
木野村 暢一 山梨大学, 工学部, 助教授 (50029732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊田 伸弘 山梨大学, 工学部, 助手 (90161702)
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Keywords | インターカレーション / イオン交換 / 導電性高分子 / リン酸バナジウム / モリブデン酸塩 / ピロール / アニリン |
Research Abstract |
本年度は、ピロールを中心とした分子をゲストとし、層状構造VOPO_4・nH_2Oをホストとした層間での導電性高分子の合成、および層間の陽イオン量を酸化反応で調整したNa_xMo_2O_4のイオン交換による新規化合物の合成を試みた。 (導電性高分子の合成)V_2O_5の粉末を加えたリン酸水溶液を16時間還流させることにより合成したホストの種々の水和状態のものを出発物質とし、これらと液体、アセトニトリル溶液および気相にしたピロールと反応させた。黄色出発物質はピロールとの反応により、アセトニトリル溶液を用いた場合は濃い緑色、その他の場合には黒色と変化し、Vの原子価状態が変化していることを示した。化学分析および分子線回折の結果、ホストの組成と構造は保持されていることが確認された。黒色の生成物においては、IRスペクトルの測定の結果ピロールはVOPO_4・nH_2O層間に重合しながらインターカレートされたことが確認された。ホスト層間にインターカレートされたものおよびホストから分離したものにつき電気伝導度を測定したところ、いずれも半導体的挙動を示し、室温での抵抗値は数+KΩであった。アニリンについても同様の結果が得られているが、詳細については、現在検討中である。 (Na_xMo_2O_4のイオン交換)酸化・還元反応で量を調整したNa_xMo_2O_4の層間のNaイオンを他のアルカリおよびアルカリ土類金属イオン等でイオン交換して新しい化合物を合成した。脱水した生成物の層間距離は層間の陽イオンの大きさに依存して変化したが、交換率そのものは酸化反応に対して顕著な依存性は示さなかった。生成物の電気伝導度を測定したところ、酸化しなくて層間にKイオンを含むものは他のものに比べて2桁程度の伝導度の増加が観察された。この効果は酸化により消矢し、酸化した試料については元の化合物と同程度の伝導度が測定された。
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[Publications] N.Kinomura and N.Kumada: "Intercalation of Weak Lewis Bases into HTaWO_6.nH_2O" Solid State Ionics. 51. 1-5 (1992)
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[Publications] R.Kanno,Y.Kawamoto,Y.Takeda,M.Hasegawa,O.Yamamoto and N.Kinomura: "Structure and Phase Transition in the Spinel System Li_<1-x>CuVO_4 (0<x<0.2),with One-Dimensional Cooperative Jahn-Teller Ordering" Solid State Chem.96. 397-407 (1992)
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[Publications] A.Mehta,A.Navrotsky,N.Kumada and N.Kinomura: "Structural Transition in LiNbO_3 and NaNbO_3" Solid State Chem.102. 213-225 (1993)
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[Publications] N.Kinomura,K.Onda and N.Kumada: "Intercalation of Pyridine and Picolines to WO(P_2O_7)" Phosphorus,Sulfur,Silicon and the Related Element. (1993)
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[Publications] N.Kinomura,K.Onda and N.Kumada: "Intercalation of n-alkyldiamines to WO(P_2O_7)" Phosph.Res.Bull.2. (1993)
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[Publications] 木野村 暢一,熊田 伸弘: "表面 遷移元素を含む層状化合物を利用した新規化合物の合成" 広信社, (1993)
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[Publications] 熊田 伸弘,木野村 暢一: "ファイセラミックス先端技術ハイライト ソフト化学的手法による新化合物の合成" ファイセラ研究所, (1993)