1992 Fiscal Year Annual Research Report
半導体結晶の超微粒子化による光キャリアの3次元的量子閉じ込め効果の研究
Project/Area Number |
04205060
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
時崎 高志 名古屋大学, 工学部, 助手 (20207541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 新男 名古屋大学, 工学部, 教授 (50159068)
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Keywords | 半導体超微粒子 / 非線形感受率 / 超高速緩和過程 / 時間分解分光 |
Research Abstract |
ガラス中に埋め込まれた半導体超微粒子を対象に,光励起キャリアや励起子による光学非線形性について研究した。とくに時間分解分光法と縮退4光波混合法により,非線形性の増大効果とキャリヤの高速緩和過程を明らかにした。 初めにCdSe超微粒子を対象に温度を4〜300Kと変えてフェムト秒過渡吸収分光を行った。用いた微粒子の半径は23Åで,電子・正孔は独立に強く閉じ込められる。フェムト秒パルス励起をすると量子閉じ込め準位間吸収は減少し,その後キャリヤ緩和に伴って回復する。その回復速度は高温ほど速いことが分かった。また,この試料で観測されるトラップ準位の発光が強い温度依存性を持つことから,温渡吸収と発光はトラップ準位によるキャリヤ捕獲を含むモデルで統一的に説明できることが分かった。従って,強い閉じ込め領域の微粒子では,光学非線形性に対してトラップ準位の存在がとくに重要な役割を持つと言える。 次にナノ秒色素レーザーを用いた縮退4光波混合法によって非線形感受率X^<(3)>の絶対値を測定した。対象としたCuCl超微粒子では励起子が量子閉じ込めを受けており,X^<(3)>に関しては,励起子による共鳴効果,粒径に依存した増大効果について既に報告した。CuCl微粒子ではトラップ準位からの発光は無いので,非線形性の解析には単純な2準位系を用いることが可能となる。それによれば,X^<(3)>は振動子強度,縦緩和時間,横緩和時間に依存している。そこで2つの緩和時間を測定することによりX^<(3)>の粒径依存の起源を明らかにした。結果的に振動子強度が粒径の2乗に比例していることが非線形性増大の主要な原因であり,これは発光寿命の粒径依存性から求めた結果とも一致した。以上のことから理論的に予想されたメゾスコピック系での振動子強度の増大効果が実験的に明確になった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Tokizaki,H.Akiyama.M.Takaya,A.Nakamura: "Linear and nonlinear optical properties of CdSe microcrystallites n glasses" Jounal of Crystal Growth. 117. 603-607 (1992)
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[Publications] A.Nakamura,T.Tokizaki,H.Akiyama,T.Kataoka: "Quantum size effects and optical nonlinearity of confined excitans in semiconducting microcystallites" Journal of Luminescence. 53. 105-109 (1992)