1993 Fiscal Year Annual Research Report
高度技術社会におけるライフスタイルの変容と人間の安全
Project/Area Number |
04210119
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森本 兼曩 大阪大学, 医学部, 教授 (20143414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 桂子 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (80217843)
大井 玄 東京大学, 医学部, 教授 (70114410)
小泉 潤二 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (10153454)
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Keywords | ライフスタイル / Quality of Life / 染色体DNA / 健康度 / 高度技術社会 / ストレス |
Research Abstract |
高度技術社会が持つ社会経済文化など多的な生活環境要因の変遷をうけた個人あるいは集団レベルのライフスタイルの変容を、客観的かつ主体的な側面から定量的に評価すると共に、それがQuality of Lifeならびに、染色体DNA(遺伝子)の変異を含む種々の段階の人間の安全性=健康度といかなる定量的関係を持つかを明らかにし、本来、人間の活動の最大のよりどころであった科学技術の進展が人間の安全、生存の質そのものにどのような将来的変化を迫るかを、現代の我々が受容できる形で提示し、あるべき科学技術社会の姿を提示した。 1.精神的、心理的な安全度としての健康度を表す指標を開発する。この際、一つはすでにかなり多く心理学や精神医学の分野で提出されている、精神的な疾患症状を表す指標を吟味する中から、精神心理的健康状態を、すべての正常人について表かし得るような尺度を開発した。 2.特に、現代高度技術社会は種々のストレッサーを発生する。これらのストレッサーの質と量を系統的に文献検索し、総合的な討議によってストレス概念と体系化すると共に、ストレッサー負荷に対する個々人ならびに集団レベルでのストレス反応を、客観的に把握できる尺度として取りまとめた。 3.前年度に開発した染色体DNAレベルの変異が、これらのストレッサー精神的心理的健康状態の影響をどこにうけるかを、モデル地域について定量的に検討し、それらの結果から将来においていかなる遺伝的な健康度の変異が招来されるかを予測した。 4.人間の安全性は、身体的精神的ならびに遺伝的な健康度で積極的に保障されるのみならず、それが将来における人間の安全感、即ち個々人の人生の充実や幸福感などの事故実現感と結び付いて展開される必要がある。その意味から消極的な安全のレベル、事故災害や疾病度にとどまらず、寄り積極的な健康ポテンシャル、ならびにQuality of Lifeを包括的に規定するライフスタイルとは何かを説得力ある形で提示した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Morimoto,K.: "Chromosome alterations in peripheral lymphocytes as indices of lifestyle and genotoxicity." Int.Arch.Occup.Env.Health. 65. 37-41 (1993)
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[Publications] 森本兼曩: "リンパ球染色体変異と免疫学的防御機構" 病態生理. 12. 171-180 (1993)
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[Publications] 森本兼曩: "ライフスタイルと健康度評価" 生存と科学. 4. 193-208 (1993)
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[Publications] 森本兼曩: "ヒト末梢血リンパ球小核試験-ヒト・モニタリングへの応用-" 変異原性試験. 3. 49-54 (1994)
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[Publications] Takeshita,T.: "Phenotypic differences in low Km aldehyde dehydrogenase in Japanese workers." Lancet. 341. 177-182 (1993)
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[Publications] Takeuchi,T.: "Increased formation of 8-hydroxydeoxyguanosine,an oxidativ DNA damage,in lymphoblasts from Fanconi's anemia patients due to possible" Carcinogenesis. 14. 1115-1120 (1993)
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[Publications] Morimoto,K.: "Chromosomal aberrations,Basic and applied aspects." Springer-Verlog,Berlin(in press), (1994)
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[Publications] 森本兼曩: "環境と染色体変異" HBJ出版局, 344 (1993)