1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04211105
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
井出 嘉憲 信州大学, 教育学部, 教授 (00013003)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今里 滋 九州大学, 法学部, 教授 (30168512)
多賀谷 一照 千葉大学, 法経学部, 教授 (40114293)
中村 紀一 筑波大学, 社会科学系, 教授 (10009615)
名和 小太郎 新潟大学, 法学部, 教授 (70237626)
|
Keywords | 行政 / 政府 / 地方自治体 / 高度情報化 / 情報政策 / 行政情報システム / 行政データベース / 全国情報インフラストラクチャー |
Research Abstract |
本年度においては、若干の個別補充調査を行うとともに、これまでの研究成果の集約を精力的に試み、以下のような所見を確認した。 I.「社会の情報化」推進のための政策誘導・助成を含めて、基本戦略政策と手段が十分実効性のあるものになっていないこと(政策エージェント機能の不全、政策企画-達成効果の乖離など)。 II.政府・行政=公的セクターにおいても、民間=私的セクターに追随・競合する形で情報化が進行しているものの(行政管理システムの変容)、情報化の跛行性や歪み、制約などが目に付くこと(業務間・組織間・政府単位間などにおける情報処理の跛行性、統合行政情報システムの統合性不備、政策支援システムの未成熟など)。 III.「行政の情報化」の基盤整備が遅れ、組織権限・人員・予算などの資源配分が情報化に見合う形になっていないこと(情報システムの開発・運用・維持能力の制約、システム評価・監査などの不備、民間への技術依存、行政ノウハウの流出・低下など)。 IV.行政の分野においても、コンピュータの普及とともに、分散処理・オンライン処理の導入が進められているものの、組織枠組みを越えるボーダーレス型の情報処理・データの流れはなお困難であり、また、エンドユーザーとの距離が大きいこと(データベースの断片性・非開放性など)。 V.情報処理の高度化に伴う行政機能・権限・手続きなどのリエンジニアリングが遅れており、「行政の情報化」の質的効果が防げられていること(行政の公証機能、磁気ファイルの原本性、電子情報の法的取り扱いなど)。 VI.総じて、わが国における高度情報化は、既存の政府・行政制度枠組み・組織構造・行動様式と複雑に絡み合いながら、相対的に特徴的な変化の様相(変位性)を呈しており、情報テクノロジーのブレークスルー効果が制約される傾向にあること(組織的・制度的・文化的バリヤ-の存在)。 年度内には、このような所見を整理した研究成果報告書を作成し、この分野における共同研究の次のステップの準備とする予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 名和小太郎: "情報ス-パハイウェイと公共的情報の電子化" 行政とADP. 30. 6号2-8 7号6-11 8号45-51 (1994)
-
[Publications] 名和小太郎: "インターネットと巡る制度的課題" 法とコンピュータ. 12. 75-82 (1994)
-
[Publications] 名和小太郎: "情報通信システムと危機管理" 行政とADP. 31. (1995)
-
[Publications] 多賀谷 一照: "行政の情報化-21世紀高齢者社会における行政のあり方" ジュリスト. 12月1日号. 23-30 (1994)
-
[Publications] 井出嘉憲: "行政過程の再構築の地方自治体" 都市問題. 85巻10号. 3-13 (1994)
-
[Publications] 今里 滋: "自治体計画再考" 年報自治体学. 8号. (1995)