1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04211110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 誠 東京大学, 経済学部, 教授 (10012121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半田 正樹 多摩美術大学, 美術学部, 助教授 (80125640)
福田 豊 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (70156793)
小幡 道昭 東京大学, 経済学部, 教授 (10152555)
須藤 修 東京大学, 社会情報研究所, 助教授 (10179286)
高橋 洋児 静岡大学, 法経短期大学部, 教授 (40022313)
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Keywords | 高度情報化社会 / 資本主義 / 産業構造 / 労働 / 地域社会 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度まで重点的に推進してきた、各研究者の専門性を活かした諸研究をあらためて有機的に再組織し、高度情報化が日本経済に及ぼした影響に関して一定のまとまった理解を樹立してゆくことを研究の中心においてきた。そのため、情報技術がもたらす国際的な影響、消費過程に及ぼす広範な作用、あるいは情報技術の受容をめぐる国際比較など、必要な研究分野を追加拡充してゆく必要があるとの理解にたち、積極的にこれらの分野の研究の吸収にもつとめてきた。また、第4群全体での研究のなかにおける当班の研究成果の位置を確認し、共同研究の意義を明確にするために、「合同研究会」の開催に取り組み、そのなかで、第4群全体で一貫性のある著作の刊行を計画するにいたった。 とくに本年度の研究のなかで、情報化社会の進展と世界経済のなかで特徴的な位置を占めるにいたった日本の資本主義経済との関連が重要な課題として意識され、この問題を軸として精力的に研究が進められた。そうしたなかで、日本の経済社会に対してコンピュータ技術の発展を中心として進む新たな情報通信技術展開が、(1)企業の投資活動へ強い影響を与え、(2)産業構造の再編と生産技術の変化とを通じて、労働の様式と雇用の形態をおおきく変えつつあり、さらに(3)一方で地域経済の自立化の可能性と、他方では貿易・金融・労働力移動など対外関係における変化が地域経済に及ぼす影響など、について研究が重ねられた。その結果、企業の投資単位は軽量化しており、労務管理も弾力的に流動化し、国境や国家の役割を相対的に縮小し、市場原理の再活性化を促すとともに、また市場組織や企業の内部組織とも異なった組織原理であるネットワークの機能領域が拡大している様相が明らかになった。
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Research Products
(22 results)
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[Publications] 伊藤誠: "高度情報化の逆説的インパクト" 経済評論. 第42巻第3号. 6-14 (1993)
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[Publications] 伊藤誠: "日本資本主義の現代的特質" 経済理論学会年報. 第30集. 6-21 (1993)
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[Publications] 伊藤誠: "社会主義経済の価格機構-多様な可能性の民主的決定" 書斎の窓. 430. 16-20 (1993)
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[Publications] 伊藤誠: "地域統合で日本は何をめざすべきか" エコノミスト. 52-57 (1994)
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[Publications] 伊藤誠・清水敦: "情報革命と金融組織の変革" 平成4年度科研費補助金・重点領域研究〈情報化社会と人間〉研究成果報告書『資本主義経済の変容と産業構造の転換. 16-31 (1993)
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[Publications] 須藤修: "経済構造の変動とネットワークの進化" マス・メディアと情報化の現在. 277-296 (1993)
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[Publications] 須藤修: "研究開発と企業組織の今後" 知識社会の主力産業と国際競争力の展望に関する調査研究. 11-22 (1993)
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[Publications] 須藤修: "企業とネットワークの政治経済学" 分岐する経済学. 77-138 (1993)
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[Publications] 須藤修: "情報テクノロジーと企業変容" 現代思想. 第21巻第13号. 152-160 (1993)
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[Publications] Osamu Sudo: "The Construction of Overlapping Information Networks" The Future of Industry in the Global Context(FAST FOP355). Vol.5. (1994)
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[Publications] 須藤修: "情報テクノロジーと日本企業" 日本会社原論. 第1巻. (1994)
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[Publications] 半田正樹: "情報技術と流通-市場と消費者のインターフェイスの新設計" 第4群・総括班共同研究報告書. (1994)
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[Publications] 半田正樹: "現代日本経済と情報技術" 経済理論学会年報. 31. (1994)
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[Publications] 小幡道昭: "市場と情報-マルクス経済学の観点から-" 経済評論. 42-4. 127-137 (1993)
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[Publications] 福田豊: "地域情報化と自立" 経済評論. 第42巻4号. 153-154 (1993)
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[Publications] 福田豊: "EDIの概念とEDIサービス-日本のEDIの特徴-" EDI日本委員会報告書. 1-15 (1993)
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[Publications] 河村哲二: "第二次大戦期の企業と労働:アメリカ-戦時経済と戦後企業体制の形成" 『社経史』共通論題特集号. 第60巻1号(発表予定). (1994)
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[Publications] 河村哲二: "「韓国・台湾における日本型生産システム」(3)V電機組立工場" 『社会科学研究』. 第45巻5号(発表予定). (1994)
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[Publications] 伊藤誠: "世界経済の転換を考える" 時事通信社, 225 (1993)
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[Publications] Itoh Makoto: "T.Kato and R.Steven ed.,Is Japanese Management Post-Fordism?" Mado-sha, 221 (1993)
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[Publications] 須藤修(共編著): "分岐する経済学(共編著)" 岩波書店, 288 (1993)
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[Publications] 須藤修(共著): "社会情報と情報環境(共著)" 東京大学出版会, (1994)