1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04211111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島薗 進 東京大学, 文学部, 助教授 (20143620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 学 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (40222210)
鳥井 由紀子 東海大学, 文学部, 専任講師 (00237158)
石井 研士 国学院大学, 文学部, 専任講師 (90176131)
対馬 路人 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60150603)
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Keywords | 宗教意識 / 宗教運動 / 神秘主義 / ニューエイジ / 新新宗教 / テレビ教会 / 自己啓発セミナー / 水子供養 |
Research Abstract |
本年度は研究代表者、分担者、協力者がおたがいの問題意識を出し合って、研究目標をしぼるとともに、研究対象に接近し、資料の収集に努めることを目標とした。通算5回の研究会を行い、合わせて10人が報告を行った。個的別な研究対象としては、メディアを多用しつつある教団、自己啓発セミナー、占い、心霊科学、水子供養、テレビ教会、墓担団体などが話題となった。個々の研究参加者はそれぞれに調査を進めたり、海外での状況の文献による探索の作業を進めている。分析の視点としては、石井はテクノロジーの導入によって宗教的なコミュニケーションにどのような変容、ないし歪みが生じるかに注目している。また、芳賀は、E、ゴフマンらが用いる「フレイム」の概念を応用して、現代の若者の宗教的コミュニケーションを分析するという視点を提示している。一方、鳥井は水子供養がいつ項から盛んになってきたかについて調べ、それがメディアの拡充とどのように関わっているかに関心を向けている。さらに、対馬は日本における心霊科学の発展を取り上げ、明治時代以来の新しい宗教意識の特徴を情報化と結びつけて考察している。最後に島薗は、日本におけるチャネリングや瞑想や気功などの流行をアメリカ合衆国と比較しながら考察し、先進国に共通に見られる大衆神秘主義運動、ないし「新霊性運動」と特徴づけようとしている。従来、神秘主義を個人主義的かつエリート主義的な性格をもっていたが、メディアの発達によって、大衆規模での神秘主義運動が世界で同時的に展開している点に、高度情報化の時代の新しい宗教文化の特徴を見る、という視点である。その他にも、さまざまな論点が提示され、来年度以降の課題として共有されるに至った。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 島薗 進: "情報化と宗教" 思想. 817号. 189-201 (1992)
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[Publications] 島薗 進: "新宗教の大衆自立思想と権威主義" 歴史評論. 509号. 18-34 (1992)
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[Publications] 石井 研士: "コンピューターが寺壇関係を侵害する日はくるか" 月刊住職. 19. 42-51 (1992)
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[Publications] 島薗 進: "脱宗教時代の自己発見" 月刊住職. 19. 34-46 (1992)
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[Publications] 島薗 進: "密度の高い相互交渉で世相えぐる番組を" 調査情報. 403号. 20-23 (1992)
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[Publications] 島薗 進: "現代社会と霊性知識人ー「精神世界」のゆくえ" 神奈川大学評論. 13号. 67-75 (1992)
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[Publications] 島薗 進(共著): "岩波講座・宗教と科学5宗教と社会科学" 岩波書店, 332 (1992)
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[Publications] 島薗 進(共編著): "宗教のことば" 大明堂, 254 (1993)