1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04211120
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青木 保 大阪大学, 人間科学部, 教授 (80062636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土佐 昌樹 大阪大学, 人間科学部, 助手 (10237084)
中林 伸浩 金沢大学, 教養部, 教授 (30019848)
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Keywords | 文化複合・変容 / 生活文化 / 間社会・間文化 / 情報文化 / 宗教の情報化 / 情報とナショナリズム / 都市文化 / 日本モデル |
Research Abstract |
今年度は、高度情報化と「文化変容」に関して、「間文化・間社会」的視点を中心にすえて調査・研究を展開した。このテーマを追求するに当たり、大阪大学人間科学部で数次にわたる研究会を開き、上記研究分担者に加えてその他数人の専門研究者の参加を仰ぎながら、(1)現代日本の生活文化に見られる「文化複合」の実態、(2)現代日本の宗教と「文化複合」の関係、の二点を中心に研究の深化をはかった。 現代日本の生活文化を問題とするに当たっては、まず大阪における生活文化の諸側面や「国際化」度の実態を把握する作業を通じ、「文化複合」に関する基礎的データの蓄積に努めた。さらに、そうした都市文化の特徴を東アジア諸国の都市文化と関連づけながら、情報化によって促進された異文化間交流の実態を把握するとともに、比較論的視野の中で「日本モデル」の普遍性と個別性を明らかにするよう努めた。 第二に、現代日本における宗教に焦点を当てることを通じ、「文化複合」に対するより限定的かつ例証的な理解を追求した。具体的には、(1)新興宗教をはじめとする現代日本宗教における「文化複合」の実態、(2)東アジアを中心とする異文化との交流の拡大に伴う宗教的レベルの相互作用の進展、(3)高度情報化がもたらす宗教的メッセージの拡散化、という三点を中心に解明しようとした。さらに、ここでも比較論的視野を重視しながら、実態調査をより発展させる段階に至っている。 以下の基礎的研究に加え、平成3年11月に研究代表者の青木が組織した重点領城第五群の研究シンポジウム「文化変容の現在」を発展させる形で、平成4年3月には大阪大学人間科学部において「ナショナリズムの現在」をテーマにした国際シンポジウムを開催した。両シンポジウムともその成果が『思想』誌に発表され、内外の注目を集めるとともに、課題をより総合的に展開する刺激となった。
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[Publications] 青木 保: "「文化」の重みーソフトからハードへー" 思想. 817. 2-5 (1992)
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[Publications] 青木 保: "文化とナショナリズム" 思想. 823. 4-18 (1993)
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[Publications] 梶原 景昭: "東南アジアの情報化、グローバル化と民主主義" 思想. 817. 147-161 (1992)
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[Publications] 崔 吉城: "韓国における日本文化の受容と葛藤" 思想. 817. 167-176 (1992)