1993 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境の変動と文明の盛衰-新たな文明のパラダイムを求めて-
Project/Area Number |
04212114
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
伊東 俊太郎 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (80012277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 格 北海道大学, 理学部, 教授 (20029721)
安田 喜憲 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (50093828)
速水 融 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (40051164)
埴原 和郎 国際日本文化研究センター, 研究部, 名誉教授 (70011707)
梅原 猛 国際日本文化研究センター, 研究部, 所長 (60046357)
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Keywords | 地球環境 / 文明の盛衰 / 文明盛衰の画期 / 周期性 / 文明盛衰の共時性 / 気候変動 / 大量生産・大量消費 / 共生・再生・循環 |
Research Abstract |
本研究での成果は以下のごとくである。 1、地球環境の変動と文明の盛衰にはいくちかの画期がみられる。12000年前、7500年前、5000年前、3000年前、紀元後3世紀、14世紀、17世紀に見られる文明盛衰の画期は地球環境の変動をともなっていたことが明かとなった。 2、地球環境の変動にはいくつかの周期性がみられることが明かとなった。特に文明の盛衰において重要な周期性は2500-2000年の周期性である。対馬暖流や気候変動にみられる周期性は文明の盛衰に大きな影響を与えたことが明かとなった。 3、地球環境の変動と文明の盛衰には共時性があることが明かとなった。その共時性は、気候変動によって引き起こされたものであることが明かとなった。 4、地球環境の変動と文明の盛衰には時代を超えた類似性(アナロジー)が認められることが明かとなった。ミケーネ文明の興亡、イースター島の興亡、17世紀のイギリス文明の興亡などには自然とのかかわりにおいていくつかの類似性があることが発見された。 5、人類の文明の盛衰は地球環境とのかかわりにおいて同じ過ちを何度もくりかえしていることが明かとなった。このまま現代文明が大量生産・大量消費のアメリカ型文明を維持すれば、世界人口が100億に達する2050年には現代文明は崩壊するという予測を得た。 6、現代文明の危機を回避し、自然と人間が共存可能な文明の潮流を創造するためには近代文明にかわる新たな再生と循環それに共生をキーワードにした あらたな文明の潮流を創造することが必要であることを指摘した。そのためには欲望のコントロールをいかに実施するかが鍵となる。それには自然への畏敬の念の復活など多神教の世界の理念に学ぶことが多いことなどが明かとなった。
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[Publications] 伊東俊太郎: "文明の変遷と地球環境の変動" 学術月報. 47. 31-36 (1994)
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[Publications] 安田喜憲: "歴史は警告する:現代文明崩壊のシナリオ" 学術月報. 47. 37-47 (1994)
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[Publications] 速水融: "人口変動に刻まれた歴史" 学術月報. 47. 48-52 (1994)
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[Publications] 小泉格: "海洋環境の変動性と周期性" 学術月報. 47. 129-139 (1994)
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[Publications] 梅原猛: "新たな文明のパラダイム" 学術月報. 47. 212-216 (1994)
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[Publications] 河合雅雄: "動物との共存は可能か" 学術月報. 47. 217-220 (1994)
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[Publications] 梅原猛: "講談社" 森の文明・循環の思想, 248 (1994)
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[Publications] 埴原和郎: "朝倉書店" 日本人と日本文化の形成, 444 (1993)