1992 Fiscal Year Annual Research Report
被熱遺構探査ー被熱ノイズ過多遺構及び微弱被熱遺構の研究ー
Project/Area Number |
04214108
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
稲田 孝司 岡山大学, 文学部, 教授 (40135926)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
絹川 一徳 岡山大学, 文学部, 助手 (50204938)
河瀬 正利 広島大学, 文学部, 助教授 (30093743)
小野 昭 新潟大学, 人文学部, 教授 (70000502)
|
Keywords | 被熱遺構 / 製鉄遺跡 / 炉跡 / 木炭 |
Research Abstract |
今年度は、来年度以降の本格調査の打ち合わせと準備が主な作業であったが、現地での予備的な調査も実施し、その成果は以下のとうりであった。 (1)製鉄遺跡の踏査 広島大学考古学研究室(河瀬)は、次の製鉄遺跡の踏査を行った。広島県加茂郡豊栄町-上嶽山遺跡・見土路4号遺跡・木原山1号遺跡・木原山2号遺跡、島根県邑智郡瑞穂町-小緩木遺跡・清造山遺跡・下稲迫遺跡・長曽根1号遺跡・長曽根2号遺跡。これらの製鉄遺跡では、丘陵斜面をL字状に削平して作業面を作り、周囲とくに低い斜面側にスラグが多く分布していた。採集遺物などにより、これらの遺構は古代-中世に属するものと推定された。 (2)旧石器時代遺跡の踏査および被熱の可能性ある遺構の調査 新潟大学考古学研究室(小野)は、多数の炉跡遺構が検出されている荒屋遺跡を中心として、新潟県地域旧石器時代遺跡の踏査を行った。小千谷市真人原遺跡では、ナイフ形石器・尖頭器を主とする石器群に伴う配石遺構を確認した。 岡本大学考古学研究室(稲田・絹川)は、岡山県苫田郡上斎原村恩原遺跡で発掘調査を実施した。被熱の可能性ある遺構は、AT火山灰下位のR文化層に集中しているが、今年度は、BX19砂礫堆の精査を行い、その構造の把握につとめた。同砂礫堆の規模は1辺約2.2m、厚さ約20cmで、遺構中中部サブトレンチでの観察によれば、全体の断面形は凸レンズ状をなし、径6〜7cm以下の礫と砂および木炭粒が、中心から外縁へ順に密集した部分・集中した部分・散漫な部分を形成していた。1つの砂礫堆の中で密集・集中部分が2カ所に別れる例のあることが今回初めてわかった。密集部の下底付近から水晶製石核・玉髄製石核が出土した。散漫な部分については、砂礫堆の2次的な流出あるいは埋没後の土壌の動きによる形成を考慮しておく必要があろう。今年度の調査では、上層の○文化層でも新たに径1メートル弱の、木炭を含む灰色土を確認した。
|
Research Products
(1 results)