1992 Fiscal Year Annual Research Report
溶液の非平衡過程の分子論的アプローチ・拡散過程のダイナミックス
Project/Area Number |
04215103
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中原 勝 京都大学, 理学部, 助教授 (20025480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大峰 厳 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (60146719)
平山 鋭 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (90027912)
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Keywords | 非平衡 / 拡散過程 / 高圧NMR / 水素結合 / 回転緩和 / 水 / ストークス-アインシュタイン-デバイ則 / 誘電摩擦 |
Research Abstract |
我々は溶液の非平衡過程を代表する「分子やイオンの拡散過程のダイナミックス」について前例のない系統的研究を行うことによって、液相反応を理解するための基礎を築いた。 主力装置として、まず高感度・高分解能・多核種・高圧NMR装置を開発した。水の水素のシグナルの線幅が1から2ヘルツという世界でも最高級の高分解能・高感度高圧NMRプローブを開発し、反応に関係する溶液のダイナミックスの研究を可能にした。 小さな溶液度のため研究が困難とされてきた「油の中の水のダイナミックス」を四塩化炭素、ベンゼン、クロロホルム、アセトニトリル、アセトン中で凝固点付近から沸点近くまでの広い温度範囲で研究し、水素結合していない"孤立状態の水分子"は疎水性有機溶媒中では純水中よりも20倍も速く回転緩和することを明らかにした。油中の水の高速回転は溶媒の粘度では表現不可能で、粘度が増大すると分子回転が速くなる実例を発見した。これは溶質-溶媒相互作用の強さと気体分子にみられる慣性効果によるものであるとの分子論的結論に到達した。 これらの溶液系に対する圧力効果の実験を世界で始めて実現し、溶媒の粘度に対する圧力効果に比較して、水分子の回転拡散に対する圧力効果がはるかに小さいことを見つけた。硝酸イオン、アセトニトリル、ベンゼンの回転緩和時間に対する溶媒効果を系統的に研究し、これまでのストークス-アインシュタイン-デバイ則がイオンや分子の回転運動については破綻することを示した。回転運動の場合にも粘性摩擦以外に「誘電摩擦」が重要な役割を果たしていることを明確にした。これらの成果は開発した装置の優秀性を示す。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] M.Nakahara: "Monomeric and Cluster States Water Molecules in Organic Solvent" Chem.Lett.809-812 (1992)
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[Publications] M.Nakahara: "Inertial and Attractive Potential Effects on Rotation of Solitary Water Molecules in Apolar and Polar Solvents" J.Chem.Phys.97. 4413-4420 (1992)
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[Publications] 中原 勝: "高圧下の高分子水溶液の疎水効果" 表面. 30. 451-460 (1992)
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[Publications] 中原 勝: "溶液高圧NMR" 高圧力と科学と技術. 1. 195-203 (1992)
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[Publications] 中原 勝: "電解質溶液の現状と展望" 電気化学および工業物理化学. 61. 30-34 (1993)
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[Publications] 中原 勝: "高圧流体技術 第12章 高圧流体反応,蒔田董、西原正夫編" 丸善, 24 (1992)
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[Publications] M.Nakahara: "Structure and Dynamics of Solutions,edH.Ohtaki and H.Yamatera,Chapter 5.1 Pressure and Temperatre Effects on Irreversible Processes in Solution" Elesevier, 23 (1992)