1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04217202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉良 満夫 東北大学, 理学部, 助教授 (40004452)
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Keywords | シリレン / ゲルミレン / シリルシリレン / ジシレン / テトラシリルジシレン / X線構造解析 / ラジカルアニオン / ジアニオン |
Research Abstract |
ケイ素2価化学種であるシリレンは通常基底状態1種項である。最近の理論的計算によればトリアルキルシリル基のような有機金属グループの3重項を安定化することが知られているが、これまで、シリル置換シリレンのマトリクス単離及び紫外吸収スペクトルの観察の報告はなかった。本研究で初めてトリス(トリメチルシリル)フェニルシラン(1)など、種々のシリルおよびゲルミル置換シリレンの77K,3-メチルペンタンマトリクス中の紫外吸収スペクトルの観察に成功した。いずれも、600nm以上の長波長にn(Si)→3p(Si)遷移を示すことが分かった。これまで報告されているアルキルおよびアリールシリレンと比較して遷移エネルギーは著しく小さい。電気的に陽性であるシリル基およびゲルミル基がシリレンのHOMO(n(Si))軌道を大きく上昇させる結果であると考えられる。また、トリメチルシリル基はゲルミレンのn(Ge)-4p(Ge)遷移をも極めて長波長シフトさせることが分かった。 テトラキス(トリイソプロピルシリル)ジシレン(2)など3種のテトラシリルジシレンを合成単離し、これらの結晶中の構造を芳香族置換基を持たないジシレンとして初めてX線構造解析した。これらのジシレンのSi-Si2重結合の平均距離は2.24Aであり、これまでに知られているアリール置換ジシレンに於ける距離よりも約0.1A長い。また、2重結合周りの構造は平面から若干変形しているものの、その程度は小さく結晶の色はいずれも黄色であった。しかし、溶液中の色は置換基によって異なる。2は室温で暗紫色であり、しかも顕著な温度依存性を示した。溶液中でSiSi2重結合回りでねじられるような大きな構造変化のあることが示唆された。さらに、これらのジシレンはカリウム金属遷元によって安定なアニオンラジカルを、リチウム金属による遷元によって対応するジアニオンを生成することが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Kira,T.Maruyama,and H.Sakurai: "The First Matrix-Isolation and Electronic Structure of Vinyl-Substituted Silylenes" Tetrahedron Letters. 33. 243-246 (1992)
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[Publications] M.Kira,T.Hino,and H.Sakurai: "Siloxycarbenium Tetrakis[3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl]borates and Teir Role in reactions of Ketones with Nucleophiles" Chemistry Letters. 555-558 (1992)
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[Publications] M.Kira,T.Hino,and H.Sakurai: "An NMR Study of the Formation of Silyloxonium Ions by Using Tetrakis[3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl]borate as Counteranion" J.Am.Chem.Soc.114. 6697-6700 (1992)
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[Publications] M.Kira,T.Hino,and H.Sakurai: "An NMR Study of the Formation of N-Silylacetonitrilium Ions by Using Tetrakis[3,5-bis(trifluoromethly)pheny]borate as Counteranion" Chemistry Letters. 153-156 (1993)