1992 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素逆イリドの分光学的キャラクタリゼーションと反応性の解析
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04217213
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
富岡 秀雄 三重大学, 工学部, 教授 (20024599)
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Keywords | イリドの分子内的発生 / カルベンーヘテロ原子相互作用 / Stevens転位 / 極低温マトリックス分離分光法 / 光分解 / ジクロロカルベンの発生 / CーH挿入 |
Research Abstract |
本研究はカルベンとケイ素との相互作用で発生が予期されるケイ素逆イリド中間体の介在を分光学的に検出し、キャラクタリゼーションすると共に、生成物分析によって、このようなイリドの特性を解明することを目的としている。 本年度も前年度と同様に先ず一般的なイリドの発生法として、分子内の近接位にヘテロ原子置換基を持つジアゾ化合物の光及び熱分解を行い、生成物分析と分光学的手法を用い、その有用性と問題点を検討した。 oー位に(ジメチルアミノ)エチル基を持つジフェニルジアゾメタンを光分解したところ、アンモニウムイリド由来の生成物として〔oー(ジメチルアミノ)ベルジル〕スチレンを与えた。反応をCHCl_3中で行うと、スチレンの代わりにジヒドロキノリウム塩が生成した。これはイリドがCHCl_3によってプロトン化されることを示しており、事実アルケン共存在下に反応を行うとジクロロカルベン付加体が単解された。又、共照射を77Kー2ーMTHFマトリックス中で行うと、イリドによると考えられる強い吸収が540,400,381nmに観測できた。そこで、ケイ素イリドを発生しうる先駆体としてoー(トリメチルシリル)メチルフェニルジアゾメタンを合成し、このものの10K,Arマトリックス中での光化学反応をIRスペクトルによって追跡した。光照射と共にジアゾ基に帰因される吸収は消失し、新たに二種類の生成物による吸収を与えた。この中で、主生成物の吸収は、発生したカルベンがメチル基にCーH挿入して生じる生成物によるものであったが、もう一種の生成物の吸収スペクトルは他の可能な最終生成物とは一致しなかった。このものがケイ素イリドによるものか否かは現在検討中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Tomioka,N.Ichikawa and K.Komatsu: "Photochemistry of(2-Netrophenyl)diazomethane Studied by the Matrix Isolation Technique.(Nitrophenyl)carbene to(Carbonylphenyl)nitrene Rearrangement by Succssive Reduction of the Nitro Group with the Carbenic Center" J.Am.Chem.Soc.114. 8045-8053 (1992)
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[Publications] H.Tomioka,K.Komatsu and M.Shimizu: "Photochemistry of Matrix-Isolated(α-Diazobenzyl)phosphonate.Observation and Reactions of Phosphonylphenylcarbene,Phosphonyl Phenyl Ketone Oxide,and Phenylphosphonyldioxirane" J.Org.Chem.57. 6217-6222 (1992)
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[Publications] S.Murata,K.Sugiyama and H.Tomioka: "Photosensititized Oxygenation of 1,3-Bis(diazo)indan-2-one" J.Org.Chem.58. (1993)
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[Publications] S.Murata,T,Yamamoto and H.Tomioka: "Photochemistry of 1.3-Bis(diazo)indan-2-one:Consecutive Decomposetion and Suppression of a Wolff Rearrangement" J.Am.Chem.Soc.115. (1993)