1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04217216
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 功啓 京都大学, 工学部, 助教授 (60026309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木瀬 直樹 京都大学, 工学部, 助手 (90177824)
柏村 成史 京都大学, 工学部, 助手 (50152632)
庄野 達哉 京都大学, 工学部, 教授 (80025858)
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Keywords | マグネシウム電極 / 電極還元 / ジシレン / 低配位有機ケイ素化合物 |
Research Abstract |
ケイ素-ケイ素二重結合は対応する炭素-炭素二重結合とは大きく異なった特異な反応性を有し、その有効な生成法の開拓と反応性の研究は近年における最も重要な研究課題の一つである。我々は既に反応性電極としてマグネシウムを用いる全く新しい電極還元法を開拓し、この方法がジシランおよびポリシラン等の低配位有機ケイ-素化合物の実用的な合成法として極めて有効なことを見いだしている。本研究では、上述の方法を用いた電極還元1,2-脱離反応によるジシレン類の新規合成法の開拓とその反応性の検討を行った。その結果、フェニルトリメチルジクロロジシランを電極にマグネシウムを用いて電極還元すると、中間に生成するジシレンが重合した生成物であるポリシランが得られることを見いだした。そこで、この反応の中間体として生成するジシレン類の安定性を高めるために、立体的に嵩高いメシチル基を有するテトラメシチルジクロロジシランを合成しその電極還元反応を検討した結果、対応するポリシランは生成せず、比較的安定性の高いテトラメシチルジシレン(1)が生成することを明かにした。この方法は、ジシレン類の新しい合成法として興味深いと考えられる。上述の反応系に水を加えると、1と水との反応によりテトラメシチルジシランが、また、メタノールを加えると、1とメタノールとの反応によりテトラメシチルメトキシシランが生成した。ジシレン類の還元電位はジシレン上のアルキル置換基の嵩高さにより大きく左右され、嵩高いアルキル置換基を有するジシレンは還元電位が高くなる。したがって、本研究により得られた成果は、より嵩高いアルキル置換基を有するジクロロジシランの電極還元1,2-脱離反応により効率良くジシレン類を合成出来ることを示唆していると考えられる。
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