1992 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトウェア設計過程における人間の思考モデルの研究
Project/Area Number |
04219202
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐伯 元司 東京工業大学, 工学部電気電子・工学科, 助教授 (80162254)
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Keywords | ソフトウェアプロセス / 仕様化・設計法 / プロトコル解析 / 協調作業 |
Research Abstract |
ソフトウェアの仕様化/設計作業の中から,複数の作業者による会議を選び,ビデオカメラで記録し,その分析を行なった.その成果は,以下の通りである. 1.分析支援ツールの作成 ビデオに記録された作業履歴は情報量が多く,人手による分析では手間がかかる.ビデオデッキとワークステーションを接続し,ビデオデッキ制御用のソフトウェアを開発し,分析支援ツールをワークステーション上に作成した.このツールは,ビデオテープ上の画像や音声をデータとする関係データベース構築ツールである.このツールを用いて,会議中の発話量に基づく分析を行ない,有用性を確認した. 2設計仕様作成過程の分析 ソフトウェアの要求仕様書から2人の設計者が共同で設計仕様書を作り上げるまでの打ち合せや会議をビデオに収録し,データの整理,分析方法を検討し,実際の事例について特性を調べた.打ち合せや会議での議題が,できあがった設計仕様書にどのように反映されているか,つまりプロセス(会議)がプロダクト(仕様書)にどのように影響を添えているかに注目して分析を行い,プロセス中の非効率的な部分を調べた.特に,作業中の打ち合せで議論された内容のうち6割程度しか仕様書に反映されていないことがが判明し,これにより,議論内容のリストのリアルタイム表示や議論の進捗状況(議論が全くなされていないなど)の提示を行うようなツールが有効であることが確認された. 3.形式的仕様記述言語の記述スタイル 形式的仕様記述言語LOTOSを取り上げ,オブジェクト指向スタイル,機能指向スタイル,状態指向スタイル,イベント指向スタイルの4つの記述パターンを提案し,それらの評価・検討を行った.4つのスタイルを用いて,酒屋の在庫管理問題やエレベータの制御システムなどを記述し,その作業過程,プロダクト(例えば,バグ数など)を分析し,各々のスタイルの特徴を検討した.その結果,オブジェクト指向スタイルが人間の思考にとって有利であるということが判明した.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 海谷 治彦: "ソフトウェアの仕様化作業における会話構造の分析" 電子情報通信学会知能ソフトウェア工学研究会. 92-128. 25-30 (1992)
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[Publications] 佐伯 元司: "ソフトウェアプロセスにおけるネット理論" ネット指向ソフトウェア設計技術に関するチュートリアル講演論文集. 12-24 (1992)
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[Publications] 内藤 晋: "形式的仕様記述言語LOTOSの記述スタイルについて" 情報処理学会ソフトウェア工学研究会. 92-100. 131-138 (1992)
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[Publications] Motoshi Saeki: "Supporting Cooperative Specification Process" Abstracts in 14th International Conference on Software Engineering. 66-70 (1992)
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[Publications] Haruhiko Kaiya: "An Experimental Results on Meetings to Develop Software Specifications" HCI International '93. (1993)
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[Publications] 海谷 治彦: "プロダクトを基にしたソフトウェア設計者会議の分析法" 情報処理学会ヒューマンインタフェース研究会. (1993)