1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04220107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
砂本 順三 京都大学, 工学部, 教授 (80037811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久枝 良雄 九州大学, 工学部, 助教授 (70150498)
横山 茂之 東京大学, 理学部, 教授 (00159229)
猪飼 篤 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (50011713)
竹市 雅俊 京都大学, 理学部, 教授 (00025454)
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Keywords | 分子認識 / 膜タンパク質移行 / リポソーム / 細胞接着 / カドヘリン / α2-マクログロブリン / ヒト上皮成長因子 / エンテロバクチンモデル |
Research Abstract |
本研究班においては生細胞表面に存在している各種の認識素子(例えば糖脂質または糖タンパク質の糖鎖、受容体タンパク質のシグナル結合部位、あるいは各種抗原性分子とそれに対応する抗体など)の認識メカニズムを可能な限り精密構造レベルで追及し、得られた情報・知見をもとに実細胞間の情報伝達メカニズムを理解することを目的としている。 この見地から本研究班が平成4年度にあげた研究実績の主なものは次のとおりである。 (1)B16黒色腫細胞から黒色腫刺激ホルモン受容体が、また血小板膜からは主要糖タンパク質が人工境界脂質含有リポソームに移行することを実際に確認した。また赤血球膜上からのアセチルコリンエステラーゼの移行の経時変化について解析をおこなった(砂本)。 (2)細胞接着分子カドヘリンに結合する細胞質因子α-カテニンがカドヘリンの働きにとって必須であること、またカドヘリンとα-カテニンとの複合体が上皮細胞層形成のために中心的な役割を果たすことを明らかにした(竹市)。(3)ヒト胎盤よりα2-マクログロブリンの受容体を精製し、その電子顕微鏡像を撮影することに成功した。これにより、受容体の細長い形、および3個のドメインを識別することができた。さらに受容体構造のカルシウム依存性を確認することができた(猪飼)。(4)ヒト上皮成長因子(hEGF)の49,50番アミノ酸に続き、23番について特異な蛍光特性を持つ非天然型アミノ酸を組み込むことに成功し、この2領域が受容体との疎水的相互作用に関与することを示した。また部位特異的変異法による解析を進めた(横山)。(5)エンテロバクチンモデルとして、シクロファンにアラニン残基を介して3個のカテコールを導入した化合物を合成した。これにアルキル長鎖を導入した化合物は合成2分子膜内に鉄(III)イオンを完全に固定化できることを明らかにした(久枝)。
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