1992 Fiscal Year Annual Research Report
エバネセント波法による脂質膜界面における抗原抗体反応の速度論的研究
Project/Area Number |
04220216
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
北野 博巳 富山大学, 工学部, 教授 (40115829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 寧 富山大学, 工学部, 助手 (60242484)
伊藤 研策 富山大学, 工学部, 助教授 (10192494)
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Keywords | エバネセント波 / 抗原抗体反応 / 脂質膜 / 分子認識 / 速度論的研究 |
Research Abstract |
生命現象において重要な細胞膜上における分子認識過程の動力学的研究を目的として、界面における分子の会合・解離の過程をリアルタイムで観測できるエバネセント波法により、(1)高分子界面へのタンパク質の非特異的結合、(2)高分子界面における抗原抗体反応、(3)脂質膜上における抗原抗体反応の順に検討した。 (1)についてはタンパク質溶液をポリメチルメタクリレート(PMMA)製のキュベットに注入することにより得られた初期結合速度と、界面へのタンパク質の結合が拡散律速で起きるとした場合の結合速度の理論値との比(R)により議論した。ヒト血清アルブミンHSA、卵白アルブミンOVA、ヒト免疫グロブリンIgGのいずれの場合にもRは1よりも小さかった。またタンパク質の等電点付近で最大値を示すこと、Rに対するイオン強度の影響が見られないことから、タンパク質の界面への非特異的結合には疎水性相互作用が、静電相互作用よりも重要であることが判明した。 (2)については、前述のPMMA製のキュベットにあらかじめHSAとOVAの溶液をそれぞれインキュベートし不可逆的に吸着させておき、そこに抗HSA抗体を注入したところ、抗体は速やかにHSA界面に結合していくのに対してOVAにはほとんど結合せず、特異的な免疫反応の有無により結合に大きな差があった。抗原HSAの表面密度と抗体の結合速度の相関を調査したところ、HSAの表面密度が約25%でRが飽和に達した。 (3)については、ハプテンとして2,4-ジニトロフェニル(DNP)基を有した脂質を種々の比率で混合した脂質単分子膜を移積した測定キュベットを用いて、[1][2]と同様の手法を用いて蛍光標識抗DNP抗体の結合過程を観察した結果、単分子膜内のハプテン脂質の割合が5、7、10、20%と変化させた場合のR値はそれぞれ0.020,0.052,0.085,0.113となり、脂質膜表面に存在するハプテンの密度が抗体の結合速度に及ぼす影響が明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 長谷川 雅典: "Adsorption Kinetics of Proteins onto Polymer Surfaces as Studied by the Multiple Internal Reflection Flourescence Metnod" Langmuir. 8. 1582-1586 (1992)
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[Publications] 谷本 智史: "Binding Kinetics of Antibodies to Antigens on Polymer Surfaces As Studied by the Multiple Internal Reflection Fluorescence Method" Langmuir. 9. (1993)
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[Publications] 北野 博巳: "新タンパク質応用工業" フジテクノシステム, (1993)