1992 Fiscal Year Annual Research Report
宿主特異的毒素、AK-毒素の合成と構造活性相関に関する研究
Project/Area Number |
04220231
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
入江 寛 長崎大学, 薬学部, 教授 (00025686)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 正昭 長崎大学, 薬学部, 助教授 (50006326)
|
Keywords | 宿主特異的毒素 / 不斉合成 / AK-毒素の構造活性相関 / 不斉原料ビタミンC / 植物病原菌胞子 / 自己発芽抑制因子 |
Research Abstract |
二十世紀ナしに黒斑が生じる原因はアルタナリア、キクチアーナという菌が生産する毒素にある。この毒素はAK-毒素と言われ、シロナシにのみ毒性を示す。この様な毒素を植物病理学上、宿主特異的毒素と言う。この様な宿主特異的毒素の性質に興味をもち、本毒素の化学構造と毒性との関係を明らかにすることを目的として研究を行なった。 AK-毒素は化学構造的にフェニルアラニンと炭素数11個のヒドロキシカルボン酸がエステル結合した一種のカルボン酸誘導体であるが、そのメチルエステルも毒性を保持しているのでメチルエステルを合成目的として研究を行なった。尚、AK-毒素にはアミノ酸部分を含めて3個の不斉中心を持つ。よって構造と活性との関係にメスを入れるためには光学活性体として合成しなくてはならない。我々はビタミンCを不斉源として合成を進め、目的とするAK-毒素のメチルエステルを合成した。また、この合成を通じて得られた多くのAK-毒素類縁体を用い、毒性試験を行なった結果、AK-毒素の構造中にある二つの不斉中心の立体化学が毒性の発現に極めて密接に関係していることを確認した。この事実は植物病理学上比較的珍しい例である。また、AK-毒素のエナンシオマーの合成も完了し、現在その毒性試験を実施中である。一方、植物病原菌胞子のもつ自己発芽抑制因子の一つ、グロエオスポロンの合成も達成し、その活性試験からグロエスポロンが真の自己発芽抑制因子であるかどうかに疑義を提唱する結果を得た。 以上、我々の行なった研究は植物病理学上の問題点に寄与し得たものと考えている。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Hirlshi Irie: "Synthesis of Methyl Esters of AF-Toxin IIa and IIc, Toxins to Japanese White Pear Prlduced by Alteraria alternata Strawberry Pathotype" Chem.Pharm.Bull.39. 2545-2549 (1991)
-
[Publications] Masayuki Matsushita: "Synthesis of Germintion Self-Inhibitor,(-)-Gloeosporone, and Related Compounds and Evaluation of Their Actevity" Chem.Pharm.Bull.40. 524-527 (1992)
-
[Publications] 入江 寛: "植物と植物病原菌の生活環に係わる二,三の物質" ファルマシア. 27. 1249-1252 (1991)