1992 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼA_2におけるCa^<2+>結合部位の動的構造と機能発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
04225104
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
林 恭三 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (00029935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 潔 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50001053)
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Keywords | ホスホリパーゼA_2 / カルシウムイオン / 酵素反応速度論 / ミセル状基質 / 単分子散状基質 / 結合定数 / 基質アナログ / 酵素・基質複合体 |
Research Abstract |
本研究ではグループI,IIに属する種々なホスホリパーゼ(PL)A_2の酵素反応速度論のパラメータの比較を行うことによって触媒作用に関与する解離基の存在状態及び必須金属イオンCa^<2+>と基質の酵素に対する結合様式の共通点と相違点を検討した。その結果,(1)両グループに属する数種のPLA_2について単分子分散状及びミセル状レシチンを基質とする酵素反応速度論のパラメータ(ミカエリス定数Kmと解媒中心活性Kcat)のpH及びCa^<2+>濃度依存性を調べた結果,触媒基His48の脱プロトン化状態とともに,立体構造上His48と隣接して存在するTyr52のプロトン化状態が触媒作用にとって本質的に重要であり,グループIのPLA_2においては,さらに,N末のαアミノ基のイオン化状態もある程度重要であること,(2)ミセル状基質に対するすべてのPLA_2の結合定数はpHに依存しHis48とTyr52の側鎖のpH値はミセル状基質の結合に伴って著しく増大するが単分子分散状基質の結合の場合にはほとんど変動しないこと,(3)酵素反応速度論のパラメータのCa^<2+>依存性の実験からグループIIの酵素と基質の結合定数はCa^<2+>の酵素への結合に伴って著しく増大し飽和量のCa^<2+>の存在下においては酵素と基質の結合定数は酵素のグループによらずほぼ同じ値となること,(4)Ca^<2+>が存在しない場合グループIの酵素と基質の結合定数はグループIIの酵素の値よりも10倍程度大きく,すでにCa^<2+>存在下の結合定数と同程度の値でありCa^<2+>の結合により変化しないことなどが明らかとなった。またグループI,IIのPLA_2に対する基質アナログ(2-dodecanoyl-amino-1-hexanol-phosphoglycolの結合定数はすべて真の基質の結合の場合とは異なりCa^<2+>の結合により著しく増大することがわかったが,この結果は溶液中での酵素基質アナログ複合体及び酵素・Ca^<2+>・基質アナログ複合体の構造が結晶溝造と同様PLA_2のグループによらず相互に似ていること,及びCa^<2+>の結合によって酵素・基質複合体の構造が更に安定化することを示唆している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Nishimura,S.Inoue,K.Ikeda,K.Teshima,Y.Samejima,T.Omori-Satoh,K.Hayashi: "Kinectis of Hydrolysis of Micellar Substrates Catalyzed by Snake Venom Phospolipase A_2"