1992 Fiscal Year Annual Research Report
生体の金属酵素を規範とする分子組織化ー機能発現に関する研究
Project/Area Number |
04225212
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小夫家 芳明 静岡大学, 工学部, 教授 (80026195)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 康隆 静岡大学, 工学部, 助手 (10240798)
|
Keywords | クラウンエーテル / アロステリズム / 金属イオン抽出 / 分子組織化 / イオンチャネル / 神経伝達 |
Research Abstract |
本研究では、生体の金属酵素に見られる巧妙な分子組織化ー機能発現システムを規範として、分子および分子集合体の組織化概念を新たに提唱し、金属イオンの関与する生体機能の合成化学的について検討した。先ず、金属イオン自身が有する配位特性を利用してホストの組織化を行わせる新規クラウンエーテル類の分子設計概念を構築した。既ち、直線状ポリエーテル分子の末端にジケトン、カテコール等のキレート配位子を結合させるだけの簡便、高収率な合成法を用いてホストを得、その後、遷移金属イオンを加えて環状、更には三次元的配列へと構造を変換し、それに伴って金属イオン捕捉機能が付与されるという構造ー機能変換が可能な一群のホストを合成した。これらホストの遷移金属錯体を用いて、アルカリ、アルカリ土類、ランタニド金属イオンを水溶液から有機溶媒に選択的に抽出することが可能であることを見いだした。また生体の神経情報伝達を司るイオンチャネルの人工構築を計画し、親水性のオリゴエーテルカルボン酸アニオンあるいはオリゴエーテルリン酸アニオンと疎水性の長鎖アルキルアンモニウムとのイオン対から成る両親媒性化合物を合成した。これらイオン対を大豆レシチンから構成した平面脂質2分子膜によって隔てられた、アルカリ金属塩を含む2つのセルの一方に添加し、両セル間に電圧をかけて、膜間に流れる電流特性を求めた。膜を介した電流応答を解析したところ、1.ピコアンベアレベルの一定の安定な電流、2.ミリ秒単位の迅速なチャネルの開閉、3.異なる電導度を有する複数のチャネル、4.いくつかのイオンチャネルの多重組み込み、5.チャネルの可逆的、繰り返し可能な不活性化、6.カチオン種に対する選択性、7.チャネル形成物質の構造特異性など天然のイオンチャネルと酷似した諸特性が観測され、人工イオンチャネルを組織化することに成功した。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] KOBUKE,Yoshiaki,LIEDA,Ken,SOKABE,Masahiro: "Artificial Non-Peptide Single Ion Channels" J.Am.Chem.Soc.114. 7618-7622 (1992)