1992 Fiscal Year Annual Research Report
パルスラジオリシス法による酸素添加酵素における反応中間体構造の解明
Project/Area Number |
04225219
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 一雄 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (30116032)
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Keywords | シトクロームP-450_<cam> / パルスラジオリシス / ストップトフロー法 / スーパーオキサイドアニオン / 酸素添加酵素 |
Research Abstract |
酸素添加酵素であるシトクロームR-450_<cam>がおこなす一連の反応において,最も重要でかつ不明な点は酸素化型P-450_<cam>の一電子還元後生成する中間体の構造と,その中間体がどのようにして基質を水酸化するかである。本研究ではこの反応中間体をとらえる手段として,P-450_<cam>および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の還元型とスーパーオキサイドアニオン(O_2)との反応について検討した。昨年度は還元型P-450_<cam>とKO_2を添加すると、基質であるd-カンファーの水酸化が見られることから、還元型P-450_<cam>とO_2との反応中間体が基質を水酸化することを明らかにした。本年度はこの反応中間体をとらえることを目的として、還元型ヘムとO_2との反応についとP-450_<cam>および酸化還元状態のよく分かっている西洋ワサビペルオキダーゼ(HRP)、ミオグロビン(Md)をとりあげ、その反応過程をストップトフロー法を用いることにより調べた。還元型HRPおよびdeoxy Md O_2とph7.4で1.6x10^6M^<-1>s^<-1>(HRP)、2.3x10^5s^<-1>(Md)の速度定数で反応し、いずれの場合も酸化型ヘムとH_2O_2との反応により得られるCompund IおよびFerry1 Mdが生成することが分かった。それに対して、還元型P-450_<cam>はpH7.4で4.5x10^6M^<-1>s^<-1>の速度で反応し中間体を生成した。この中間体はカンファー存在下では0.5s^<-1>で、非存在下では0.17s^<-1>でそれぞれ対応する元の酸化型P-450^<cam>に戻った。この過程の反応速度定数は酵素濃度、および加えた基室濃度に依存しないことから、この過程で基質が水酸化されると考えられる。一方この中間体の吸収スペクトルは、現在までに分かっている種々のP-450_<cam>酸化還元状態のスペクトルとは異なる。またMdやHRPと異なり、酸化型と過酢酸との反応により得られるスペクトルとも異なることが分かった。
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