1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヘム・チオレート蛋白質の反応性に及ぼす配位子周辺部位の影響について
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04225230
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
今井 嘉郎 大阪府立大学, 農学部, 教授 (60029949)
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Keywords | P450 / 脂肪酸水酸化酵素 / 部位特異的変異体 / 構造機能相関 / 基質特異性 / 反応位置選択性 / ヘム鉄の配位状態 |
Research Abstract |
1.肝臓の薬物代謝型P450の内、同じ基質(ラウリン酸)の同じ位置を水酸化する2E1と2C2を選び、ヘム遠位に近接すると推定される保存性Thr→Ser置換体を作成、天然型と置換体の両者について基質(直鎖脂肪酸)のサイズを炭素数9より18まで順次変えたときの反応産物を分析し、鎖長変化に対するレスポンスを比較した。 (1)2E1は鎖長選択性があまり強くないが、2C2は選択性が強く、炭素数14以上の脂肪酸は実際上水酸化しない。 (2)水酸化位置の決め方は両P450で異なり、2E1はω側より炭素鎖を数え、炭素数に関わりなくω-1≫ω-2であるが、2C2はカルボキシル基側より数え、鎖長10以下の脂肪酸ではω水酸化体も生じる。 (3)置換により位置選択性が甘くなるが、カルボキシル基より数えて一定範囲内は水酸化せず、2E1はω位の水酸化も行わない。また、炭素数9の脂肪酸に対する2C2の活性は置換によりかなり強まる。 (4)以上の結果は、両P450ともに保存性Thrのメチル基が反応位置の決定に重要な役割を担い、基質のアルキル鎖を固定して酸素受け入れ位置を決めるが、メチル基を欠く変異体では固定できないため酸素挿入部位が広がることを示している。2C2ではω炭素の固定にもThrのメチル基が関与するが、2E1では別の機構が働くと推定される。 2.両P450および2C14、2B5の保存性Thr→Lys置換体のスペクトル的性質を比較した。いずれも還元型は2つの状態をとるが、その平衡位置は分子種に依存し、また、2C14と2B5は窒素非配位型も含むことが判り、ヘム鉄とLysとの位置関係(したがって、保存性Thrの位置)に分子種による個性が示唆された。今後、2つの状態の構造的相違を解明し、反応位置選択性と結び付けられるようにしたい。
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Research Products
(1 results)