1992 Fiscal Year Annual Research Report
顕微ラマン分光によるヘテロエピタキシャル成長層の歪緩和の研究
Project/Area Number |
04227217
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
市村 正也 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (30203110)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 晶 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (90024265)
和田 隆夫 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60023040)
|
Keywords | ラマン分光法 / ヘテロエピタキシー / 格子不整 / 相互拡散 |
Research Abstract |
格子定数の不整合や熱膨張係数差により生じる結晶中の歪は、ヘテロエピタキシーにおける成長モード変化や欠陥生成の主要な原因である。本研究は、顕微ラマン分光法を用いてヘテロ界面ごく近傍の歪を観察し、歪緩和の統一的かつ微視的な理解を得ることを目的とした。 今年度は主としてGe/Si構造の評価を行った。試料を斜め研磨し、斜面に露出した界面近傍を顕微鏡を通してラマン測定することで、約10nmの高い空間分解能で歪や欠陥の分布を測定した。その結果によれば、成長層厚が1〜2μmの場合、表面近くどはほぼ完全に格子不整が緩和され歪のない状態になっていたとしても、界面近傍では依然として歪が残っている。つまり、格子不整歪は界面で完全に緩和してゼロになるのではなく、界面近くの領域で徐々に減少している。具体的には、Ge層厚が1μmのとき、表面付近では無歪であっても、界面では約0.5%の不整歪が残留している。この0.5%という歪量は、SiとGeの不整合度(4%)に比べると小さいが、材料物性に与える影響を考えると決して小さな値ではない。 本研究ではさらに、熱処理が残留歪に与える影響を同様の手法で評価した。成長温度より高温の熱処理を施すことにより、格子不整に伴う残留歪は消滅し、代わって熱膨張係数差に起因する歪が現れた。また同時に原子の顕著な相互拡散が生じていることが明らかになった。 以上により、本研究ではラマン分光法の利点を十分に生かし、ヘテロ構造の歪、欠陥量、組成を同時に、かつ微視的に評価することに成功した。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] M.Ichimura,T.Moriguchi,A.Usami,and T.Wada: "Micro-Raman Characterization fo a Ge/Si Heterostructure Grown by Chemical Vapor Deposition" IEICE Transactions on Electronics. E75-C. 1056-1062 (1992)