1992 Fiscal Year Annual Research Report
3次元閑じ込めによる超微粒子電子励起状態の変容と光応答の理論
Project/Area Number |
04230201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萱沼 洋輔 東北大学, 理学部, 助教授 (80124569)
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Keywords | 超微粒子 / 量子ドット / 量子サイズ効果 / ポラリトン |
Research Abstract |
1.間接ギャップ型半導体の量子サイズ効果 Si,Ge,AgBrなど、間接ギャップ型物質の超微粒子において、発光効率の著しい増大が報告されている。そのメカニズムの可能性の一つとして、量子サイズ効果による直接遷移行列要素の混成が考えられている。そこで、有効質量近似にもとづく、谷間混成の定量的評価を行った。電子正孔の包絡関数の局在性を通じてブロッホ間数の谷間混成が生ずるが定量的には、微粒子の半経1〜2nm以下で初めて顕著になり、このモデルでは、可視発光の出現を説明しきれないことが判明した。従って、発光の起源としては、別のメカにズムを考えるべきである。 2.量子ドットランダム格子の光応答 前年度の結果を、光の偏り、2p準位の軌道縮退を考慮した現実的なモデルに拡張して、光-物質系の共鳴相互作用を調べた。光の分散曲線状態密度、反射等などの、量子ドットの濃度依存性を計算した。濃度増大とともに、レーリー散乱からコヒーレントなポラリトン伝播へと移り変わる様子を明らかにした。 3.球面上のワニア励起子 フラーレン類、コートされた超微粒子などを念頭において、2次元球面上に拘束された電子・正孔対の量子状態と、その光応答善性を調べた。球の半径をR、励起子有効ボーア半径をaBとすると、R/aB<<1では独立な2粒子の自由回転、R/aB>>1では強く結合した2次元励起子となる。その中間は数値的厳密計算により調べられる。回転運動がゼロ点エネルギーを持たないことを反映して、Rの減少とともに、最低状態のエネルギーがレッドシフトすることが著しい特徴である、閑じ込めの領域が単連結でなければ、量子サイズ効果により、レッドシフトすることもあり得るが、これはその一例である。
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[Publications] Y.Kayanuma: "Wannier Excitons on a Microsphere" Solid State Commun.84. 771-774 (1992)
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[Publications] Y.Kayanuma: "Resonant Interaction of Phtons with a Random Array of Quantum Dots." J.Phys.Soc.Jpn.62. 346-356 (1993)
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[Publications] H.Sumi: "Is the Lorentz Model Applicable to Optical Absorption by Excitons?" Solid State Commun. 85. 1-4 (1993)
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[Publications] 萱沼 洋輔: "ゼロ次元結晶の光応答特性" 応用物理. 61. 796-799 (1992)