1992 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物高温超伝導体の電子状態に関する計算物理学的研究
Project/Area Number |
04231214
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 幸則 名古屋大学, 工学部, 助手 (70168954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 貴己 三重大学, 教育学部, 講師 (70237056)
小栗 章 名古屋大学, 工学部, 助手 (10204166)
井上 順一郎 名古屋大学, 工学部, 助教授 (60115532)
前川 禎通 名古屋大学, 工学部, 教授 (60005973)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 強相関電子系 / 電子構造 / ハバード模型 / t-J模型 / d-p模型 / 厳密対角化法 / 変分モンテカルロ法 |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導体の発見は、強く相互作用する多電子系の示す物性の理解という物理学の基本問題に対して新たな視点を提供した。発現機構は依然として未解明であり、多くの研究者によって集中的に研究が進められている。本研究では、CuO面の電子構造を記述する幾つかの強相関電子模型(例えば、d-p模型、ハバード模型、t-j模型)に対して、計算物理学的手法、特に厳密対角化法、変分モンテカルロ法、及び多体強束縛法を適用することによって、その電子状態への理解を深め、さらの発現機構の解明を目指している。平成4年度に得られた代表的な研待成果は以下の通りである。(1)d-p模型およびハバード模型に対して有限サイズクラスターの厳密対角化の手法を用い、一粒子励起スペクトルの波数依存性を計算し、強相関絶縁体のドーピングによるいわゆるギャップ内状態の形成についた調べた。(2)ハバード模型に近接サイト間斥力をつけ加えた拡張ハバード模型の相図を調べ、ドーピングによる金属-絶縁体転移とそれに伴う大きなフェルミ面から小さなフェルミ面への変化を、銅酸化物との対比において考察した。(3)銅酸化物の絶縁体相における弱強磁性の起源を明らかにした。また導出されたハミルトニアンスピン波理論を適用し、スピン波励起ギャップの形成機構を明らかにした。(4)d-p模型の電子状態を、グッツウィラー型変分関数を用いた変分モンテカルロ法に基づいて調べた。スピン相関関数および密度相関関数のパラメータ依存性が計算された。(5)銅酸化物の電子状態の温度依存性を調べるため、厳密対角化の手法をt-j模型に適用し、比熱、帯磁率、スピン相関関数、動的スピン相関関数などの計算を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Ohta et al.: "Implications of the nuclear quadrupole frequency in high-Tc cuprates" Journal of the Physical Society of Japan. 61. 2198-2201 (1992)
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[Publications] Y.Ohta et al.: "Evolution of the in-gap state in high-Tc cuprates" Physical Review B. 46. 14022-14033 (1992)
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[Publications] W.Koshibae et al.: "Electronic and magnetic structures of cuprates with spin-orbit interaction" Physical Review B. 47. 3391-3401 (1993)
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[Publications] A.Oguri et al.: "Brinkman-Rice transition in the three-band Hubbard model" Physical Review B. 46. 14073-14077 (1992)
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[Publications] J.Inoue et al.: "Dynamics of a hole in the spin-fermion model" Physica B. (1993)
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[Publications] T.Tohyama et al.: "Raman scattering in the two-dimensional Hubbard model" Physica B. (1993)