1992 Fiscal Year Annual Research Report
活動的海洋底における熱水・冷水活動とオーシャンフラックス
Project/Area Number |
04232103
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
酒井 均 山形大学, 理学部, 教授 (00033126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 仁 九州大学, 理学部, 助教授 (30144736)
蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70143550)
太田 秀 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10013591)
脇田 宏 東京大学, 理学部, 教授 (40011689)
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Keywords | 海底熱水系 / 沖縄トラフ / マリアナトラフ / 二酸化炭素 / 熱水堆積物 |
Research Abstract |
1.中部沖縄トラフ熱水域:平成4年6月蒲生、千葉、太田、石橋(脇田研)、中島(公募班)が「しんかい2000」による計4回の潜航調査をClam siteと南奄西海丘について行い、熱水、液泡、堆積物、生物試料の採取を行った。これらの試料の化学、同位体分析の結果と潜水艇による観察結果を併せて、次のような知見が得られた: (1)南奄西海丘と伊是名海穴では熱水はそれぞれの水深での沸騰点に近い温度を持ち且つ二酸化炭素で飽和している。これに対してClam siteの熱水は元々二酸化炭素で飽和していた熱水が海水で2から3倍に薄められたものであって、希釈は海底面下極く浅いところで起こったと考えられる。 (2)200℃以上の熱水では二酸化炭素の溶解度は圧力の低下と共に急速に減少する。従ってClam site以外の熱水系では海底面の水圧での飽和濃度以上の二酸化炭素を含む熱水エンドメンバーが海底に近づくにつれて二酸化炭素に過飽和となり、二酸化炭素相と熱水相に分離し前者が液泡として熱水と共に海水中に放出されているものと考えられる。 (3)南奄西海丘の熱水堆積物は硬石膏、閃亜鉛鉱及び重晶石からなるが、これらの鉱物の形成と現在の熱水活動との関係は今後の研究に待たなければならない。 2.マリアナトラフ熱水域:平成4年11月から12月にかけて「しんかい6500」による地球化学的研究が蒲生を主席研究員として実施された。本研究班からは千葉、石橋、太田、角皆も参加した。1987年アルビンによって発見されたアリス熱水域を再訪し熱水温度、生物群集等殆ど変化の無いことを確認した。採取した熱水の化学・同位体分析を実施中である。又南部マリアナトラフに於いて新しい熱水域(最高温度202℃)を発見したが熱水の採取は成らなかった。 3.「しんかい6500」による東部南海トラフの研究、「しんかい2000」による水曜海山熱水の採取と分析もおこなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 酒井 均: "Stable isotopic ratios and origins of the carbonates associated with cold seepage at the Eastern Nankai Trough." Earth and Planetary Science Letters. 109. 391-404 (1992)
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[Publications] 蒲生 俊敬: "Methane,ethane and total inorganic carbon in pore fluids taken during the 1989 Kaiko-Nankai Project." Earth and Planetary Science Letters. 109. 383-390 (1992)
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[Publications] 蒲生 俊敬: "Carbon isotopic ratios of total inorganic carbon in pore waters associated with diagenesis of organic material at the ODP Site 808,Nankai Trough." Proceedings of the Ocean Drilling Program,Scientific Results. 131. (1993)
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[Publications] 蒲生 俊敬: "Hydrothermal plumes in the eastern Manus Basin,Bismarck Sea:CH4,Mn,Al and pH anomalies." Deep-Sea Research,in press.
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[Publications] 石橋 純一郎: "Gas chemistry of hydrothermal fluids from the Mid-Okinawa Trough Back Arc Basin" Chemical Geology in press.
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[Publications] 千葉 仁: "南奄西海近で湧出している気泡の化学・同位体組成" 第8回しんかいシンポジウム報告書 海洋科学技術センター. 81-88 (1992)
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[Publications] 蒲生 俊敬(共著): "驚くべき生命力の科学" 大日本図書, 153 (1992)