1992 Fiscal Year Annual Research Report
新生産フラックスと植物プランクトの硝酸同化制御機構
Project/Area Number |
04232206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神田 穣太 東京大学, 海洋研究所, 助手 (60202032)
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Keywords | 基礎生産 / 新生産 / 海洋 / 硝酸 / 化学発光分析法 / アンモニア(アンモニウム) / インドフェノール法 / 窒素循環 |
Research Abstract |
植物プランクトンの硝酸同化は硝酸濃度、アンモニア濃度、光の3つの主要な環境要因によって制御されると考えられる。この制御機構を明らかにすることは海洋における新生産フラックスの規模と変動についての解析を行う上で不可欠である。この制御機構の研究は現場の自然群集についての研究と培養藻類による室内実験系と用いた研究を平行して行う必要がある。これまでの研究代表者の研究で、貧栄養環境の自然群集について、硝酸を添加後約10時間で活発な硝酸同化が現れてくることが明らかになった。このときのアンモニア濃度は検出限界以下であったことから、従来よくいわれている1〜2μM以上のアンモニアの存在による硝酸同化の抑制とその解除とは異なった現象である可能性がある。今年度は比較のため海岸域の海水に栄養塩類を添加して珪藻の人為ブルームを発生させる系を用い、その過程での硝酸取込みの推移をモニターする実験を行った。この結果、珪藻ブルームの系ではアンモニア濃度の低下が硝酸取込みをすみやかに誘導する、従来の知見と合致した結果から得られた。貧栄養海域の現象を生理学的に解析するため、単細胞性ラン藻Synehococcnssp.(StrainSYN)の連続培養系も確立するとともに、基本的な増殖パラメータの定置を行った。また連続培養系か貧栄養海域での実験を行う上で技術的な制約となっている硝酸およびアンモニアのナノモルレベルの分析システムの開発・検討を行った。硝酸については減圧化学発光法で必要な感度を有する分析システムを構成し、方法を確立した。またアンモニアについてはオルトフェニルフェノールを用いたインドフュノール改変法を開発し、新たに固相抽出を組み合わせる方法でナノモルレベルの分析が可能であることを確めた。
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