1992 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸海域におけるモリブデンのフラックスに及ぼす微生物活動の効果
Project/Area Number |
04232222
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
合田 四郎 近畿大学, 理工学部, 教授 (60088416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 秀夫 近畿大学, 理工学部, 助手 (30140312)
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Keywords | モリブデン / 海洋フラックス / 溶存化学種 / 海水 / 生物生産性 / 海洋細菌 |
Research Abstract |
本研究では海洋におけるモリブデンの存在状態,溶存化学種に及ぼす海洋微生物の効果を解明する目的で研究を行なった。すなわち瀬戸内海沿岸域から海水,海底堆積物を採取し,そこに存在する海洋細菌を培養し,これを生物生産性の高い海洋のモデルとして実険系を組立てた。このような系内でのモリブデンの溶存化学種の変化に対する海洋細菌の影響について追跡,検討した。その結果,以下に示すような新たな知見を得た。 1.従来から知られているように海水中ではモリブデンは6価の酸素酸アニオンとして長期間安定に存在する。それに対して生物活性の高い海洋細菌培養系ではモリブデンは比較的容易に溶存化学種が変化することが判明した。 2.海洋細菌の増殖に伴い,申請者等が開発したオキシン抽出法では抽出されない化学種のモリブデン濃度が増大した。この化学種のモリブデンは生物生産性の高い海域で申請者等により見出されている非抽出態モリブデン種と同じものと推察された。 3.海洋細菌の増殖過程では分子量1万以上の高分子量モリブデン種が増大することを見出した。特に分子量が10万以上のモリブデン種濃度の増加が著しいことから,このような高分子量モリブデンは生態の代謝過程で生成された酵素類の中心金属として存在すると考えられる。 4.以上の研究結果から,生物活性の高い海域ではモリブデンは必ずしも海水中に安定に存在するとはいえず,その溶存化学種の変化に伴い,その除掃過程にも影響することが明らかになった。このことは海洋におけるモリブデンのフラックスを解明する上で,極めて重要な要因であると考えられる。
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