1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04237215
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 泰彦 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助手 (50211371)
林 壽郎 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (90026089)
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Keywords | 天然高分子 / 生体材料 / 架橋反応 / 医用高分子 |
Research Abstract |
平成4年度においては、ヒト羊膜の力学物性を引張り試験により測定した。続いて、電子線照射、γ線照射により物理的架橋を、また、グルタルアルデヒド(GA)、水溶性カルボジイミド(WSC)、エポキシ化合物を用いて化学架橋を行った。これらの方法により得られた架橋羊膜の含水率および力学物性を調べた。その結果、いずれの架橋反応によっても含水率は変化がなく、破断強度は若干だけ上昇し、伸度は少し低下していた。さらに、架橋羊膜の物質透過性を調べたところ、架橋反応によって透過性は変化していなかった。これらのことから、羊膜の架橋を行っても物性は大きく変化しないことがわかった。その理由としては、IV型コラーゲンを主成分とする羊膜が蜂の巣状の網の目構造をしており、架橋反応によりその網の目に大きな変化は起こらないためであると考えられる。 次に、生体内での分解を調べるために、コラゲナーゼによる架橋羊膜のin vitro分解実験を行った。その結果、物理架橋を行ったものはコラゲナーゼによる分解速度は大きく変化しなかった。一方、化学架橋を行ったものは架橋剤濃度が高くなるにつれコラゲナーによる分解速度は低くなり、濃度によってはほとんど分解しなくなった。 これらの結果から、羊膜は物理架橋によっては大きな変化がみられないが、化学架橋により特にコラゲナーゼによる分解速度を変化させることができた。その理由として、IV型コラーゲンを主成分とする羊膜は化学架橋を行うことにより、網目間架橋よりも網目内架橋が主として起こり、その結果、物性の変化が小さいにもかかわらずコラゲナーゼ分解速度が大きく変化するものと推測された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Tomihata,K.Burczak,K.Shiraki,and Y.Ikada: "Crosslinking and Biodegradation of Native and Deratured Collagen" Polymer Preprints. 33(2). 534-535 (1992)