1992 Fiscal Year Annual Research Report
高精度ab initio計算に基づく分子間相互作用関係の確立と検証
Project/Area Number |
04238205
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 勲 東京工業大学, 総合理工学研究科, 教授 (60011582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 進 東京工業大学, 総合理工学研究科, 助手 (70194339)
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Keywords | 二酸化炭素 / 中性子回析 / 構造解析 / 構造因子 / 超臨界流体 / ゆらぎ / 分子動力学シミュレーション / 動径分布関数 |
Research Abstract |
超臨界状態として実用上も最も良く利用されている基本的な物質である二酸化炭素の臨界点(304.3K,7.39MPa)近い状態で,高エネルギー物理研究所の中性子全散乱分光器で中性子回析を行ない構造解析を行なった。すなわち310Kで,10.1,8.6,8.1,6.1MPaの4点で,320Kで10.2,9.7,9.2MPaの3点で測定を行なった。試料セルは高圧に耐えねばならないが,チタンとジルコニウムの合金により中性子に対して透明なセルを製作した。セルは内径8mmで肉原0.8mmで40MPaまで耐えるものである。加熱は赤外炉で行ない,温度制御は310Kの実験で24K,320Kの実験で21Kにすることができた。測定時間は,圧力1.0MPaの気体の実験も行ったが87時間に及んだ。散乱ベクトルQの関数として構造因子S(Q)を求めた。Q=1.8Å^<01>に第1ピークが見られ,圧力が増加するほどピークは明確になる。S(Q)に高いQの領域でDebyeの式を適用し,分子内のC-O,O-O距離を求めたが,それぞれ約1.16Å,2,34Åで直線分子であることが判明した。この距離は気体から固体まで変りない。S(Q)からFourier変換により動径分布関数を求めた。分子間ピークは明確でないので,解析のために分子動力学シミュレーションを行なった。原子間ポテンシャルは3サイトモデルで,各原子を作用点とした。310K,8.6MPaの状態をシミュレートしたが動径分布関数は実験値と満足すべき一致が得られた。近接する2つのCO_2分子の相対的な配置関係は,そのC-C軸に対して30°〜60°の配置が多く,C-C軸方向から見た2つの直線分子の角度は30°〜60°のものが多く,液体状態のT字型や斜め平行型は少ないことが分った。配位数の分布を調べたが0〜9の広い範囲に分布し,4及び5の頻度が多い。このように広い分布を示すことはゆらぎが大きいことを意味し,臨界点に近いことの特徴を表わしている。
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