1992 Fiscal Year Annual Research Report
モリブデン-ケイ素-アルミニウム系超高温用金属間化合物の高温酸化
Project/Area Number |
04239211
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸山 俊夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20114895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 和宏 東京工業大学, 工学部, 教授 (70114882)
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Keywords | 金属間化合物 / 高温酸化 / ケイ化モリブデン / 非晶質シリカ / アルミナ / ムライト / 相転移 |
Research Abstract |
1500℃以上かつ酸化性雰囲気で使用可能な高融点金属間化合物は現在のところ,MoSi_2のみである。MoSi_2の高温酸化では非晶質SiO_2が保護性皮膜として生成することが知られているが,これは高温でβ-クリストバライトに結晶化し,冷却時にα相に転移する。この際の体積変化により皮膜が剥離する。密着性の高い保護性皮膜を生成させるには,皮膜として相転移のないα-Al_2O_3を生成させるか,非晶質SiO_2の結晶化を抑制することが必要である。本研究ではこれらの観点から,Mo(Si_<1-x>,Alx)_2のを取り上げ,その高温酸化について調べた。 Mo(Si_<1-x>,Alx)_2の高温酸化を空気中,1800〜2050Kまでの温度範囲で行った。試料はx=0,0.14,0.28,0.37の4種類をアルゴンアーク溶解で調製した。x=0の試料ではすべての温度でSiO_2は結晶化し剥離が観察される。Alを含む試料ではSiO_<2->ムライト(3Al_2O_32SiO_2)系の共晶温度である1868K以下ではAl_2O_3が生成し,それ以上の温度ではAl_2O_3を固溶した非晶質SiO_2が生成する。両者とも密着性に優れ,加熱冷却を行う繰り返し酸化実験でも剥離は認められない。Al_2O_3を固溶した非晶質SiO2は結晶化が抑制されている。酸化速度はともにx=0の試料より高くなっている。 共晶温度以下の酸化速度はAl_2O_3を生成する耐熱合金のそれに近く,Al_2O_3中のAlの拡散が律速している。Al_2O_3中のAlの拡散係数は非晶質SiO_2中の分子状酸素のそれより大きいことから,酸化速度が大きくなる。共晶温度以上では,Al_2O_3を固溶した非晶質SiO_2は酸素の透過経路となる微小空間が増加しており,酸化速度が増大する。結晶化の抑制機構は以下のように考えられる。すなわち,クリストバライト中のAl_2O_3の固溶度は無視し得るほど小さく,非晶質が結晶化するためにはAl_2O_3をムライトとして析出する必要があり,これには非常に遅いAlの拡散過程が律速となるので,結晶化が抑制される。以上のことから,クリストバライトには固溶せず,酸素の透過を促進する微小空間を増加させない元素との金属間化合物を設計することにより,耐酸化性の高い材料が創製できることが明かとなった。
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Research Products
(1 results)