1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04240106
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 治彦 金沢大学, 理学部, 助教授 (50004370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 哲夫 高エネルギー物理学研究所, 放射光, 助教授 (20005888)
石原 裕 金沢大学, 理学部, 助教授 (10019474)
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Keywords | 高温超伝導 / 結晶変態 / 反強磁性 / ヤーン・テラー効果 |
Research Abstract |
高温超伝導体のCu-O八面体の酸素の頂点が塩素で置き換った物質,Ba_2Cu_3O_4Cl_2について研究した。このCu-Oの八面体の結晶歪が高温超伝導体の出現に大きく影響を与えている実験事実から,我々はこの八面体の頂点の酸素を塩素で置き換えた八面体の結晶歪がどのようにこの物性の性質に反映しているのかを系統的に調べ,高温超伝導体の超伝導発現機構に迫るものである。先ずこの物質の帯磁采の温度変化及び各温度での磁化の磁場依存性を測定した。その結果330K以下でスピンがキャントした反強磁性になっていることが分った。キャントした反強磁性になるには結晶が斜方晶型かそれ以下の対称性を持った結晶型であることが必要である。ところがX線的にはこの物質は室温では正方晶型のように思われる。この矛盾をどう考えるか。我々は2つの可能性を考えた。1つは歪が330K以下で起こっているが小さいのでX線的には正方晶型に見える。2番目はCuの位置では歪んでいるが全体では正方晶であるという可能性。1)の可能性の為に小さな歪の検出に偉力を発揮するX線トポグラフィーをこの330Kの上下で種々温度変化をとった。結果はトポグラフィーでは330Kで歪を起こしているという結果は得られなかった。2)の可能性の為に放射光を用いたEXAFSを測定しCuと特に第2近接の酵素までの距離を測定し、その温度変化から歪が部分的に起きている可能性を調べた。その結果330K以上で急に距離が短くなっているようであるがその変化の量が大き過ぎるのでもう少し精度を上げた実験が必要である。この物質のCuの一部をNiやZnで置き換えた物質の単結晶を作り磁性を測定した。Niではキャントした反強磁性は起こらなくなり、Znでは転移点を数度下げるだけで大きな変化はなかった。これから他の元素をドープすることにより結晶歪をコントロールして高温超伝導と歪の関係を明らかにしたい。
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