1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04241220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
園田 昇 大阪大学, 工学部, 教授 (20083983)
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Keywords | 二酸化炭素同族体 / セレン化カルボニル / テルル化カルボニル |
Research Abstract |
二酸化炭素のひとつの酸素がセレンに置換したセレン化カルボニル(Se=C=O)は、二酸化炭素のひとつの活性化形態とみなすことができ、二酸化炭素の化学的固定と新しい変換反応の開発を遂行する上で、セレン化カルボニルの反応特性を解明することは、重要な課題である。本研究では、セレン化カルボニルの高効率合成法を開発するとともに、その反応特性の解明を目的に、種々の求核剤との反応を試みた。得られた成果は次のように要約される。 (1)二級アミンとセレンと一酸化炭素の反応により、容易に得られるセレノールカルバミン酸アミン塩が、セレン化カルボニルおよびアミンと平衡にあることを明らかにするとともに、セレノールカルバミン酸アミン塩を低温下酸分解することにより、セレン化カルボニルが良好な収率で合成できることを見いだした。 (2)合成単離したセレン化カルボニルとアミン類との直接反応により、アミンのカルボニル化生成物である尿素類が高収率で生成することを見い出した。 (3)基質としてホスフィン類、ホスファイト類、イソニトリル類を選び、セレン化カルボニルと反応させたところ、いずれの反応も一酸化炭素の発生を伴い、それぞれ生成物として相当するホスフィンセレニド、セレノホスフェート、セレノイソシアナートを高収率で与えた。 (4)セレン化カルボニルはトリエチルアミンのような3級アミンの作用により容易に分解してセレンを析出し、一酸化炭素が発生するが、この系に元素硫黄を共存させると一酸化炭素の発生はなく、容易にセレンと硫黄の交換が起こり、硫化カルボニルが生成することが明らかになった。 (5)炭素求核剤として塩基性度の低い9-メチルフルオレンリチウムを用い低温でセレン化カルボニルと反応させた後、ヨウ化メチルで捕捉したところ、セレン化カルボニルを取り込んだ生成物が得られることを見いだした。
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