1992 Fiscal Year Annual Research Report
π-ラジカルの集合化による高分子スピングラスの合成とその磁気特性に関する研究
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04242201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田畑 昌祥 北海道大学, 工学部, 助教授 (50091476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 洋輔 北海道大学, 工学部, 助教授 (20002199)
横田 和明 北海道大学, 工学部, 教授 (30001217)
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Keywords | Rh錯体触媒 / ポリフェニルアセチレン / ラジカル / スピングラス / ESR / 磁気モーメント / 磁性 / カスプ |
Research Abstract |
序)我々はこれまでRh錯体が芳香族アセチレンモノマーの新しい規則性重合触媒となり、シス体の芳香族ポリアセチレンポリマーを高収率でしかも選択的に与えることを明らかにしてきた。生成したポリアセチレンにはπ-ラジカルが含まれ、これはOvchinnikovが提唱した強磁性体のモデル化合物と対比できるもの考え、これまでこのラジカルの安定化構造やポリマーの磁性について研究して来た。我々のポリマーにはシス体ポリマーの二重結合が異性化によりトランス体になるときに解裂して生成したπ-ラジカルが共役系に安定化されている。一方、Ovchinnikovモデルはポリアセチレンの側鎖にフェノキシラジカルを置換した場合であるが、スピンの非局在化を考えると構造的に類似している。 [Rh(NBD)C1]2の存在下、p-メソキシフェニルアセチレン(p-MeOPA)を重合して得たP(p-MeOPA)ポリマーのESRスペクトルを観測した。このスペクトルは、主鎖型ラジカル;Aと側鎖型ラジカル;Bのスペクトルから構成されているものと考えれる。この帰属はマイクロ波の飽和効果と主鎖水素の重水素化の実験を行ない確かめた。Bラジカルのモデル化合物を用いた。a b initio MO計算もこの帰属を支持し、四個のHβの結合定数が等しいことが計算された。 磁気特性 形成されたP(p-MeOPA)中に含まれるラジカルの磁気的特性を知るため、SQUIDを用いて磁気モーメントを測定した。このポリマーがスピングラスかどうかを知るために、磁場をかけないで10Kに冷却し、その後磁場を印加しながら、昇温-降温を行なった。典型的なスピングラスの系と異なり、低温の磁気モーメントの上昇があるが、約40-80゚Cにモーメントの極大、即ちカスプを観測できた。この結果はやはりスピングラスの生成を支持している。 スピングラスのESRスペクトル スピングラスは数個のスピンがクラスターを作っている系であり、これはミクロ的に小さな内部磁場の発生を意味し、この内部磁場の発生がESR法で検出できるかどうかを試みた。その結果、時間に依存するESRスペクトル検出に成功した。 今後は低温側のモーメントの増加の原因とスピングラス生成温度のスピン濃度依存性を調べる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masayoshi TABATA: "Polymer Spin Glass Generated from Poly (p-Methoxyphenylacetylene)Synthesized with a Stereoregular polymerization Cataiyst" Mal.Cryst.Lig.Cryst. 170. (1993)
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[Publications] 田畑 昌祥: "可溶性超高分子量ポリアセチレン" 高分子加工. 42. (1993)
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[Publications] 田畑 昌祥: "アセチレンの立体規則性重合触媒" 化学工業. 44. (1993)