1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04243102
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中辻 博 京都大学, 工学部, 教授 (90026211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長村 吉洋 立教大学, 理学部, 教授 (50160841)
榊 茂好 熊本大学, 工学部, 教授 (20094013)
田中 皓 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (00000860)
平尾 公彦 東京大学, 工学部, 教授 (70093169)
岩田 末廣 分子科学研究所, 教授 (20087505)
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Keywords | 多電子理論 / SAC-CI法 / 励起状態 / 電子相関 / ポテンシャルエネルギー面 / 摂動論 / 触媒作用 |
Research Abstract |
中辻は、励起・イオン化分子の電子状態やポテンシャルを計算するために提案したSAC-CI法について、比較的大規模な分子に適用した場合の信頼性・計算精度を検討した。サンドイッチ型金属錯体であるフェロセン・ルテノセンについて、SAC-CI法は励起エネルギーおよびイオン化エネルギーの実験値を良好に再現した。また、ポルフィンの励起状態を計算し、その吸収スペクトルに対して新たな帰属を提案した。また、スピン-軌道相互作用を考慮した波動関数を用いてNMR化学シフトを計算し、典型金属に見られるハロゲン依存性がスピン-軌道相互作用に由来することを示した。岩田は、アルゴンクラスターの光吸収について種々のアンサンブルを用いて計算し、実験スペクトルの温度依存性について検討した。また、大規模分子の電子状態の計算に必要な2電子積分の系統的な近似法を開発し、種々のテスト分子について従来の計算法と0.1kcal/molの範囲で一致する結果を得た。また、フェノール-水錯体や、金属・金属イオン-水クラスター、リドベルグ型ラジカルクラスターをab-initio分子軌道法により解析した。HClやN_2分子の高励起状態・イオン化状態のポテンシャル曲線をCI法により計算し、2次元光電子スペクトルの帰属を行った。また,Cl_2において中性基底状態の結合にClの3d軌道が重要な役割を持つことを示した。長村は、塩化アルミニウムをルイス酸触媒とするベンゼンの塩素化反応のメカニズムを、解析的エネルギー微分法を用いて解明した。また、星間分子であるHC_3Nの生成反応について、その可能性を理論的に検討し、C2H2 + CNで示される反応が可能であることを示唆した。榊は、Si-HおよびSi-Si σ結合のPd(0)およびPt(0)錯体への酸化的付加反応を検討し、Pd錯体への酸化的付加反応はPt錯体より容易に進行することを示した。この結果はPtとPdの基底状態電子配置に基づく従来の予想と逆であった。次に、白金錯体へのエチレンの配位とPt-HおよびPt-Si結合への挿入反応のメカニズムを検討した。Pt-Hへの挿入がPt-Siへの挿入より容易であること、および反応メカニズムにおける配位子のトランス効果が重要であることを示した。田中はポテンシャル面や励起分子の波動関数を高い精度で記述するため、大次元の計算に対応できるMRSDCI法のプログラム開発を進めている。このプログラムが完成すると、数十万次元の計算が手がるに実行できるようになると予想される。平尾は、比較的大きな分子を定量的に扱う理論としてMRMP法を提案してきた。本年度は、この方法の適用可能性を追求するため、ベンゼン、シクロペンタジエン、ピロ-リ、フラン、ナフタレンなどの分子の励起状態を計算した。その結果、ベンゼンの励起エネルギーは0.18eVの範囲で実験値を再現した。また、金属錯体MF_6(M=Cr, Mo, W)の構造がD3d構造よりD3h構造が安定であることを示した。この結果は従来のCCSDT以上の計算結果と同じであった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H. Nakatsuji: "SAC-CI Study on the Excited and Ionized States of TiBr_4 and TiI_4" J. Chem. Phys.101. 7658-7671 (1994)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Spin-Orbit Effect on the Magnetic Shielding Constant Using ab initio UHF Method" Chem. Phys. Letters. 233. 95-101 (1995)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Hyperfine Splitting Constants Studied by Symmetry Adapted Cluster-Configuration Interaction Method." J. Chem. Phys.100. 5821-5828 (1994)
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[Publications] H.Nakatsuji: "Theoretical Study on the Molecular and Dissociative Adsorptions of H_2 on a ZrO_2 Surface" J. Phys. Chem.98. 11840-11845 (1994)
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[Publications] S.Jitsuhiro: "Theoretical Study on the Ground and Excited States of Chromate Anion CrO_4^<2->" J. Chem. Phys.101. 1029-1036 (1994)
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[Publications] H.Nakai: "Mechanism of Photochemical Reaction of Permanganate Ion" J. Mol. Struct (Theochem). 311. 285-293 (1995)