Research Abstract |
代表者は,Jackson積分にまつわるコホモロジーの代数解析的,位相解析的研究を続けている。特に,漸近挙動の種々のタイプの線型関係を論じる接続問題に集中している。これは,統計物理の可解モデルを解く鍵であるYang-Baxterの関係式を与える興味深い例になっている。この問題に関して,私の得た中間結果(一部は予想)を,細年6月,米国サマー・スクールで発表し,専門に近い人々と討論,交流を行なった。この報告は,米国数学会発行のantemporary Math,Seiiesに掲載予定。その後,さらに計算を実行し,予想の段階ではあるが,接続行列の一般公式を得た。これは,楕円テータ関数を含む表示を持つものであったが,ごく最近,種数一般にも,類似の結果を示唆する公式を導くことが出来た。しかし,三輪,神保氏などの体系的な解の構成に,どれだけかかわっているのか?などの問は未知であって,今後の問題であるし,まだ最終的証明を出していないので,これも未完である。 又,Jackson積分の一般的構造を明らかにする研究は,ほとんど手をつけられていないので,そろそろこの問題にも取り掛りたいと考えている。 研究協力者である大沢健夫氏は,複素解析の立場から,土屋昭博氏はRiemann面のモジュライと共形場理論の立場から,私の研究を補なう形で進行しており,互いに刺激になっている。又,Jackson積分の位相的立場も極めて重要であって,いわゆる離散解析の典型例としての発展も期待している。
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