1992 Fiscal Year Annual Research Report
海馬における長期増強と長期抑制の役割の計算論的研究
Project/Area Number |
04246204
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
原 健一 山形大学, 工学部, 教授 (60017316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北嶋 龍雄 山形大学, 工学部, 助教授 (10007247)
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Keywords | 同シナプス性長期増強 / 連合性長期増強 / 同シナプス性長期抑圧 / 連合性長期抑圧 / 異シナプス性長期抑圧 |
Research Abstract |
長期増強現象と長期抑圧現象にはいくつかの型があるが、本研究においてこれらの誘発・発現機構を統合した数理モデルを構成した: (a)同シナプス性長期増強現象のモデル:NMDA受容体チャネルから流入したCa^<2+>濃度がある閾値を越えると、Ca/CaM依存性キナーゼIIが十分活性化されてAMPA受容体をリン酸化する。その結果、AMPA受容体の感度が増加し長期増強が誘発・発現される。 (b)連合性長期増強現象のモデル:弱いシナプス入力に遅れて強いシナプス入力が与えられると、強いシナプス入力の後シナプス膜電位が弱い入力経路に伝播され膜電位が上昇し、(a)と同様、長期流強が誘発される。 (c)同シナプス性長期抑制現象のモデル:弱いシナプス入力のみを刺激すると、ACPD受容体の活性化によりホスホリパーゼCが遊離し、ジアシルグリセロールが産生され、プロテインキナーゼCが活性化される。この結果、感度低下を伴うAMPA受容体のリン酸化により、長期抑圧が発現。 (d)連合性長期抑圧現象のモデル:強いシナプス入力に遅れて弱いシナプス入力を加えると、強いシナプス入力のIPSPが弱い入力経路に伝播して膜電位の上昇があまりみられず、(c)と同様、長期抑圧が誘発される。 (e)異シナプス性長期抑圧のモデル:強いシナプス入力だけを刺激すると刺激を受けない経路に膜電位が伝播され膜電位上昇がもたらされるが、膜電位依存性Caチャネルより流入したCaによりジアシルグリセローゼが産生され、(c)と同様、長期抑圧現象が誘発される。 以上5つの型を組み込んだモデルを、海馬対側内嗅野一顆粒細胞間のシナプスに適用して計算機シミュレーションを行なった結果、実験結果とかなり一致するシミュレーション結果がえられた。
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Research Products
(2 results)