1992 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物網膜における情報処理に関与する神経節細胞の膜特性
Project/Area Number |
04246243
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金子 章道 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051491)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 恭一 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (70138121)
|
Keywords | 哺乳動物網膜 / 神経節細胞 / アセチルコリン受容体 / voltage clamp法 / 逆転電位 / アゴニスト / アンタゴニスト / 視覚情報処理 |
Research Abstract |
本研究では、哺乳動物網膜神経節細胞の光応答性を解明する目的で、ネコ網膜から単離した神経節細胞のアセチルコリン(Ach)受容体の性質を調べた。 実験には、体重1kg前後のネコを用いた。麻酔下のネコの外側膝状体及びその周辺にDilを注入し3-4日経過した後、再びネコを麻酔して眼球を摘出し、酵素処理により神経節細胞を単離した。ラベルされた神経節細胞にwhole-cell voltage-clamp法を適用し、Ach電流を記録した。-70mVに電圧固定した細胞は、5μM以上のAchを投与すると内向き電流を発生した。この電流は一過性で比較的早い脱感作を示した。Ach応答の逆転電位は-5±3.6mV(n=11)であり、細胞外液のナトリウムイオン濃度を減少させると負の方向に移動した。電流振幅は細胞外液のカルシウムイオン濃度に強く依存し、濃度を上昇させると増大し、下降させる減少した。Ach応答の電流-電圧関係は非直線的であり、強い内向き整流特性を示した。この内向き整流特性は細胞外液のカルシウムイオン濃度を変化させても変わらなかった。Ach応答の薬理学的性質を検討するため、Achのアゴニストとアンタゴニストの効果を調べた。ニコチン(100μM)内向き電流を惹起したが、ムスカリンは無効であった。また、Ach電流はヘキサメソニウム(0.5μM)によって抑制されたが、同濃度のアトロピンでは影響を受けなかった。 以上の結果から、ネコ網膜神経節細胞のAch受容体は中枢神経系で報告されているニコチン性Ach受容体と同じ性質を持っていることが明かとなった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 倉橋 隆,金子 章道: "嗅細胞の匂い情報変換とcAMP感受性イオンチャネル" 実験医学10、(No.6)増刊「イオンチャネルとレセプター」. 212-219 (1992)
-
[Publications] Ueda,Y.,Kaneko,A.&Kaneda,M.: "Voltage-dependent ionic currents in solitary horizontal cells isolated from the retina." J.Neurophysiol.68. 1143-1150 (1992)
-
[Publications] Downing,J.E.G.&Kaneko,A.: "Cat retinal ganglion cells show transient responses to acetylcholine and sustained responses to L-glutamate." Neurosci.Lett.137. 114-118 (1992)
-
[Publications] Kyoh-Ichi Takahashi and David R.Copenhagen: "APB Suppresses Synaptic Input to Retinal Horizontal Cells in Fish:A Direct Action on Horizontal Cells Modulated by Intracellular PH" Journal of Neurophysiology. 67. 1633-1642 (1992)
-
[Publications] 河村 悟,金子 章道: "視覚の分子機構-網膜-" 分子神経科学の最先端厚生社.
-
[Publications] Kurahashi,T.&Kaneko,A.: "Gating properties of the cAMP-gated channel in toad olfactory receptor cells." J.Physiol.