1992 Fiscal Year Annual Research Report
高親和性エリスロポエチン受容体発現に必要なサブユニット分子に関する研究
Project/Area Number |
04247203
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 隆造 京都大学, 農学部, 教授 (60077378)
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Keywords | エリスロポエチン / 受容体 / 糖鎖 / 赤芽球 / 神経細胞 / クローニング |
Research Abstract |
Baby Hamster Kidney(BHK)細胞にエリスロポエチン(EPO)受容体遺伝子を導入して発現させたところ,高・低2種類の親和性を示すEPO結合部位が存在した。2種類の親和性が見られた原因はEPO受容体の糖鎖の有無によるのではないかと考え,ツニカマイシン処理したところ,高親和性部位だけとなった。この結果より,EPO受容体に糖鎖が結合すると低親和性になるのではないかと考えられた。そこで,EPO受容体の糖鎖付加部位に遺伝子上で変異を加え,糖鎖を持たないEPO受容体を発現させた。ところが,予想に反し,この場合も高・低2種類の親和性を持つEPO結合部位が出現し,ツニカマイシン処理により,高親和性部位のみとなった。この結果を説明するのには,EPO受容体と会合する,糖鎖を持ったもう一つのサブユニットを想定するとよい。即ち,もう1つのサブユニットに糖鎖が存在する場合には低親和性,存在しない場合には高親和性を示すと考えればうまく説明どきる。この際,EPO受容体の糖鎖は結合には影響しないと考えられ,実際,膜結合性のない可溶性EPO受容体で糖鎖の有無による親和性を比較したところ,極めて低い親和性(Kd=13nM)ではあるが両者に差はなかった。 また,神経細胞の性質を持つラット副腎髄質由来のクロム親和性細胞であるPC12細胞のEPO結合性について調べたところ,Kd=16mMの1種類の際めて低い親和性を示した.この原因として神経系では赤芽球系とは異なるEPO受容体が存在するのではないかと考えたが,RT-PCR法によるcDNAクローニングの結果,同一のEPO受容体が発現していると考えられた。しかし,Westem解析の結果,PC12細胞上のEPO受容体は少し分子サイズが小さく,C末端が欠失している可能性が高い。しかしながら,EPO受容体のC末端の欠失はEPOとの結合性には影響しないことが知られており,神経系細胞では,別のサブユニットが存在すると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masaya Nagao: "Effect of Tunicamycin Treatment on Ligand Binding to the Erythropoietin Receptor:Conversion from Two Classes of Binding Sites to a single Class" Blood. (1993)
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[Publications] Masaya Nagao: "Production and Ligand-Binding Characteristics of the Soluble Form of Murine Erythropoietin receptor" Biochem.Biophys.Res.Commun.188. 888-897 (1992)
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[Publications] Seiji Masuda: "Functional Erythropoietin Receptor of the Cells with Neural Characteristics:Comparison with Receptor Properties of Erythroid Cells" J.Biol.Chem.(1993)