1992 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍マーカーとしてのMn-スーパーオキサイドディスムターゼの癌化による発現機構
Project/Area Number |
04253224
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 直之 大阪大学, 医学部, 教授 (90002188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敬一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (70221322)
藤井 順逸 大阪大学, 医学部, 講師 (00222258)
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Keywords | Mn-スーパーオキサイドディスムターゼ / TNF / IL-1 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
我々は卵巣癌や他の腫瘍で血中Mn-含有スーパーオキサイドディスムターゼ(Mn-SOD)が上昇することを明らかにしてきた。しかし、それがどのような機構で起こるのかは現在のところ不明である。腫瘍細胞への酸素や栄養源の供給の点から腫瘍における血管内皮細胞の役割が注目されている。また多くの腫瘍においてサイトカインがその進展に関与している可能性が示されており、卵巣癌についてもTNF,IL-1等の発現が確認されている。この腫瘍細胞から分泌されたサイトカインが何らかの形で血管内皮細胞に作用し、血中レベルのMn-SODの上昇を引き起こしている可能性がある。そこでヒト臍帯より血管内皮細胞を単離培養し、Mn-SODの発現について検討した。培養内皮細胞をTNFやIL-1で刺激するとMn-SODmRNAの発現誘導が認められた。内皮細胞では細胞内レベルの上昇とともにその培養上清中にも多量のMn-SODが出現した。この時、乳酸脱水素酵素(LDH)活性を測り、それを指標として死細胞の量を見積もると培養上清中のMn-SODの量は死んだ細胞内に蓄積されていた量に匹敵することが分かった。この培養上清中のMn-SODはミトコンドリアに存在する成熟型と同じ分子量であったので、翻訳されたMn-SODが一旦ミトコンドリアに入り、そこでプロセスされた後に細胞死に伴って培地中に現われることを示している。以上の結果から、TNFやIL-1は内皮細胞に作用し、Mn-SODを誘導した後、細胞を壊死させることによってこの発現されたMn-SODを培養上清中に放出させたと考えられる。各種悪性疾患でも同様に、異常に産生されたサイトカインの作用で血中Mn-SODレベルの上昇が起こると考えられる。このMn-SOD発現誘導の機構を遺伝子レベルで明らかにするために、これまでにヒトMn-SOD遺伝子のクローニングを行い塩基配列を決定した。現在そのプロモーター領域の解析を進めており、近後シスエレメントやトランス作動因子について検討を進める予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] N.Taniguchi: "Clinical signifecance of superoxide dismutase:Changes in aging,diabetes,ischemia,and cancer" Adv.Clin.Chem.29. 1-59 (1992)
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[Publications] T.Nakata: "Highexpression of Mn-superoxide dismutase in 7,12-dimethylbenz(a)anthracene-inducedovarian cancer and inceased serum levelsin the tumor-bearing rats" Carcinogenesis. 13. 1941-1943 (1992)
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[Publications] T.Ookawara: "Site-specific and random fragmentation of Cu,Znsuperoxide disumutase by glycation reaction:Implication of reactive oxygen species." J.Biol.Chem.267. 18505-18510 (1992)
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[Publications] T.Nishiura: "Elevated serum manganese superoxdie dismutase in acute leukemias." Cancer Lett.62. 211-215 (1992)
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[Publications] N.Kawamura: "High levels of Mn-Superoxide dismutase in serum of patients with neuroblastoma and in meuroblastoma cell lines" Free Rad.Biol.Med.12. 281-286 (1992)
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[Publications] T.Nakata: "Induction and release of manganese superoxidedismutase from mitochondia from human umbilical vein endothelial cells by tumor necrosis factor-α and interleukin-1α" J.Lab.Clin.Med.(1993)