1992 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖を認識する接着分子群(LECAM)の抗腫瘍免疫における役割とその分子的研究
Project/Area Number |
04253244
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
宮坂 昌之 (財)東京都臨床医学総合研究所, 免疫研究部門, 研究員 (50064613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 ふじ子 (財)東京都臨床医学総合研究所, 免疫研究部門, 研究員 (90124453)
玉谷 卓也 (財)東京都臨床医学総合研究所, 免疫研究部門, 研究員 (70207231)
反町 典子 (財)東京都臨床医学総合研究所, 免疫研究部門, 研究員 (30217468)
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Keywords | 接着分子 / セレクチン / 糖鎖 / 血管内皮細胞 / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
有効な抗腫瘍免疫の誘導を阻害する大きなファクターとして、腫瘍細胞、あるいは血管内皮細胞が産生、分泌する分子により、エフェクター細胞の局所へのホーミングが妨げられる可能性が強く示唆されている。LECAMファミリーは、最近その存在が確認された新しい接着分子ファミリーである。われわれ、有効な抗腫瘍免疫誘導のために必要なロジックを考えることを目的に、LECAM分子群、特にリンパ球のホーミングレセプターといわれてきたLECAM-1の生理的意義、悪性腫瘍の転移および腫瘍に対するエフェクター細胞の局所への移動における意義を明らかにすることを試みてきた。ます、(a)ラッとLECAM-1のcDNAクローニングを行った。そして、(b)獲得したcDNAを組替え、さらにバキュロウイルスを利用することにより、免疫グロブリンのFc部分を含む可溶型LECAM-1を大量に作製することに成功した。(c)そしてこの可溶型LECAM-1を免疫原として、ラッとLECAM-1に対する中和をモノクローナル抗体(HRL1、HRL3)および非中和モノクローナル抗体(HRL2、HRL4)を作製した。(d)HRLモノクローナル抗体、可溶型LECAM-1を用いた解析から、LECAM-1、およびそのリガンドともに細胞表面から遊離し、細胞外に放出されることが明らかになった。このことから、血中に可溶型LECAM-1分子が検出されるのでないかと考え、サンドイッチELISA法を考案して測定を試みたところ、炎症をおこしている動物においては、血精中に可溶型LECAM-1分子を検出することができた。(f)一方、さまざまな糖鎖に対する結合実験から、LECAM-1はシアリルルイスXやシアリルルイスaなどに結合するのみならず、スルファチドに強く結合することが示された。シアリルルイスXおよびaに対する結合はカルシウムイオン依存性であったが、スルファチドに対する結合はカルシウムイオン非依存性であった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] T. Tamatani,K.Kuida,T.Watanabe, S.Koike,& M. Miyasaka: "Molecular mechanisms underying lymphocyte recirculation III. Characterization of the LECAM-1(L-seletin)-dependent adhesion pathway in rats." Journal of Immunology. 150. 1735-1745 (1993)
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[Publications] Y.Suzuki, Y.Toda, T.Tamatami, T.Watanabe et al.: "Sulfated glycolipids are ligands for a lymphocyte homing receptor, L-selectin(LECAM-1), binding epitope in sulfated suger chain." Biochem.Biophys.Res.Comm.190. 426-434 (1993)
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[Publications] T.Watanabe, Y.Song, Y.Hirayama, T.Tamatane et al.: "Sequence and expression of a rat cDNA for LECAM-1." Biochim.Biophys. Acta. 1131. 321-324 (1992)
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[Publications] 宮坂 昌之: "LECAM-1(L-セレクチン)とその炎症における役割" 第94回日本医学会シンポジウム記録集. 59-64 (1992)
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[Publications] 宮坂 昌之: "接着分子の臨床と最近の話題" 最新医学. 47. 2255-2256 (1992)
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[Publications] 宮坂 昌之: "免疫系で用いられる接着分子とその機能" リウマチ. 32. 379-386 (1992)
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[Publications] 宮坂 昌之(編): "接着分子-その働きと生体への関与" メジカルビュー社, 173 (1992)
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[Publications] 月田 承一郎,宮坂 昌之,鈴木 信太郎,(編): "細胞接法の分子機構" 羊土社, 155 (1992)