1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04255211
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 第二解剖, 教授 (00135691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 光一 和歌山県立医科大学, 第二解剖, 助教授 (10212127)
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Keywords | 痛み / 細胞性癌遺伝子 / c-fos / 脊髄後角 / ヒスタミン / 痒み / ストレス / ラット |
Research Abstract |
疼痛刺激により痛覚伝達系において種々の内因性活性物質の産生が変化するが、本研究の目的はその発現調節のメカニズムを明らかにすることである。ペプチド前駆体や種々の酵素の遺伝子の転写活性化因子としてc-fos,c-junなどの細胞性癌遺伝子が重要な役割を果たしていることが最近明らかにされているが、その詳細なメカニズムを不明である。そこで我々はまず痛覚刺激の種類により、働く伝達物質に差があるかどうかをFos発現を指標として検討した。物理的刺激による脊髄後角でのFos発現は、SP(NK_1)リセプターの特異的拮抗剤であるcp-96345,NMDAリセプターの拮抗剤であるMK-801により抑制されたが、熱(52℃)刺激によるFos発現は抑制されなかった。その意義については、刺激による組織損傷の有無との関連など現在検討中である。また化学刺激としてのヒスタミンによるFos発現はモルフィンにより抑制されたが、cp-96345やMK-801によっては影響を受けなかった。また、fos family,jun familyのそれぞれの細胞性癌遺伝子の動きをin situハイブリダイゼーション法により検討し、疼痛刺激後15分でc-fos mRNAが上昇し、次いで30分ずc-jun,junB,junDなどのmRnaが増加することがわかった。時間的に差がみられることは、転写活性化のメカニズムがそれぞれ異なることを示している。 更に、疼痛刺激による脳内のFos発現をみると、大脳皮質、視床正中核群、視床下部室傍核、青斑核、縫線核群などに多数のFos陽性細胞が分布していた。拘束ストレスによっても同様の領域にFos陽性細胞がみられることから、疼痛がストレッサーとして作用していることが示唆される。また、皮膚へのヒスタミン刺激が痒みを煮起することはよく知られているが、脳では上記領域に加え特定の核群でFosの発現がみられた。痛みと痒みに対する生体反応の違いを示すものとして興味深い。
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[Publications] Kashida H.,Senda E.Ueda Y. and Tohyama M.: "Axonal blockade induces the espression of vasoactive intestinal polypeptide and galanin in rat dorsal root ganglion neurons." Brain Research. 577. 19-28 (1992)
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[Publications] Kashida H.,Senda E.,Ueda Y.and Tohyama M.: "Co-localized but target-unrelated expression of vasoactive intestinal polypeptice galanin rat DRG neurons sfter peripheral nerve crush." Brain Research. 582. 42-57 (1992)
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[Publications] Tlkunage A.,Senba E.,Manabe Y.,Shida T.,Ueda Y.and Tohyama M.: "Orofacial pain increases mRNA lavel for galanin in the teigeminal nucleus of the rat." Peptides. 13. 1067-1072 (1992)
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[Publications] Yao G.Y.,Tohyama M.and Senba E.: "Histamine-caused itch induces Fos-like immunoreactivity in dorsal horn neurons:effect of morphine pretreatment." Brain Research. 599. 153-157 (1992)
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[Publications] Senba E.,Matsunaga K.,Tohyama M.and Nogushi K.: "Stress-induced c-fos expression in the rat brain:activation mechanism of sympathetic pathway." Brain Research Bulletin. (1993)
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[Publications] Noguchi K.,De Leon M.,Nahin R.L.,Senda E.,and Ruda M.A.: "Quatification of axotomy-induced alteration of neuropeptide mRNAs in DRG neurons with special reference to neuropeptide Y mRNA and the effects of neonatal capsaicin" Journal of Neuroscience Research. (1993)
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[Publications] 仙波 恵美子: "「術後痛」疼痛ストレスと細胞性癌遺伝子" 花岡一雄,百瀬隆編,克誠堂, (1993)
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[Publications] 野口 光一,仙波 恵美子: "「分子神経科学の最先端」痛みの分子機構" 遠山正彌編,厚生社, (1993)