1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04257206
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 淳二 名古屋大学, 農学部, 助手 (10183120)
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Keywords | ジベレリン / α-アミラーゼ / ホルモン / シグナル応答 / 矮性 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
ジベレリンは、種子発芽、草丈の伸長、花芽誘導等の生理現象の鍵となる植物ホルモンである。本研究は、イネ等のデンプン性穀物種子芽時において、ジベレリンによって誘導されるα-アミラーゼを指標とした解析により、ジベレリンによるシグナル応答の素過程の分子レベルの解明を目論むものである。 イネ矮性突然変異体を用いてジベレリンとの関連に基づいた矮性形質の簡便な分類法の確立と実際の分類化を実施した。簡便な分類法として、ジベレリンが作用する生理現象である、第2葉鞘の伸長と無胚半切種子を用いたα-アミラーゼ活性の誘導時におけるジベレリンの効果を定量し、2次元プロット化する手法を考案した。この手法を11種の矮性イネ突然変異体に適用すると、3種類の異なるグループ(ジベレリン次損・ジベレリン非感受性・ジベレリン無関係)に分類化できる。また、準同質矮性遺伝子系統「しおかり」を出発材料として、同様の解析を行った結果、d-1遺伝子がジベレリンに対する霞厳頭低下に関係した矮性遺伝子であることが判明した。今後はこの遺伝子のクローニングを目指す予定である。 イネは無酸素下においても発芽するのに対し、大麦・小麦は発芽できない。無胚半切種子を用いて、無酸素下におけるジベレリンによるα-アミラーゼ誘導の実験を行ったところ、イネでは誘導が成立するのに対し、大麦では成立しなかった。詳細な解析の結果、無酸素下の大麦種子においては、ジベレリンによりαアミラーゼの誘導が転写のレベルで抑制されていることが明かとなった。現在その調節機構について検討している。
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[Publications] J.Yamaguchi: "Isolation and characterization of muclei form rice embryos." Cell Struc.func.17. 87-92 (1992)
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[Publications] S.Hatano: "The preparation of high-molecular-weight DNA from rice and its analysis by pulsed-field gel electrophoresis." Plant Sci.83. 55-64 (1992)
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[Publications] A.Saint-Guily: "cDNA sequence of an adenylate translocator from Arabidopsis thaliana." Plant Physiol.100. 1069-1071 (1992)
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[Publications] P.Perata: "Effect of anoxia on starch breakdown in rice and wheat seeds." Planta. 188. 611-618 (1992)
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[Publications] S.Mitsunaga: "Production of α-amylase is repressed by uniconazole,an inhibitor of the biosynthesis of gibberellin,in a dwarf mutant of rice,Waito-C." Plant Cell Physiol.(1993)
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[Publications] 山口 淳二: "種子貯蔵デンプン分解系." 植物細胞工学. (1993)
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[Publications] 山口 淳二: "蛋白質・核酸・酵素(植物の分子生物学)" 共立出版, 10 (1993)
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[Publications] 山口 淳二: "酵素実験法工" 広川書店, 8 (1993)