1992 Fiscal Year Annual Research Report
ハツカダイコンのセネッセンス(老化)時に発現する遺伝子の発現調節機構の解析
Project/Area Number |
04257212
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
安積 良隆 神奈川大学, 理学部, 助手 (50211701)
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Keywords | ハツカダイコン / セネッセンス(老化) / シス-エレメント |
Research Abstract |
暗処理やエチレン処理は緑葉のセネッセンス(老化)を促進させることが知られている。またサイトカイニンは老化の進行を仰制する働きがある。ハツカダイコンからクローン化された遺伝子dinlは、エチレンや暗処理によって発現が誘導されること、サイトカイニンによっては発現が仰制されること等から緑葉のセネッセンス時に特異的に発現すると考えられる。また暗処理によるdinlの発現誘導は細胞内の糖の濃度を通じて行われることが確かめられている。この遺伝子のこれらの刺激による発現制御の分子機構を明らかにすることによって、これらの刺激の結果生じる細胞内のどんな変化が原因となって、緑葉のセネッセンスが進行するようになるのかを知ることができる。まずdin1がこれらの刺激に応答するのに必要なシス-エレメントを決定するためdin1の様々な長さの遺伝子上流域を植物形質転換用のベクターpBI101のGUS遺伝子上流に組み込んだ。この組換えリポーター遺伝子を外来の遺伝子を植物に導入する能力のあるアグロバクテリウムを介してタバコ植物体に形質導入した。再生した個体からゲノムDNAを精製し、GUS遺伝子をプローブにしてサザンハイブリダイゼーションを行い、形質転換体の選抜を行った。形質導入が確認された個体に暗処理を施し、どのくらいまで上流域を組み込んだものでGUS遺伝子の発現が誘導されるか調べた。din1の転写開始点から上流802、あるいは609塩基対までを含むリポーター遺伝子を導入された個体では強い発現の誘導が認められた。しかし上流471、387、あるいは197塩基対まで含むリポーター遺伝子を導入された個体では発現の誘導は認められなかった。これらのことから光の条件に応答するのに、つまり糖の濃度に応答するのに必要なシス-エレメントはdin1遺伝子上流471から609塩基対の間に存在することが判明した。今後はこのエレメントの正確な位置とこれに結合するトランス-エレメントについて調べる。
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