1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04258217
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 泰治 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60094364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (70212462)
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Keywords | グリオスタチン / 神経難病 / グリア / ニューロン / 血小板由来内皮細胞増殖因子 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
近年の分子生物学的手法の発達により、神経系の発生・分化調節、生存維持、という各段階においてグリア細胞から分泌される神経栄養因子によってニューロンの分化調節や生存維持が図られていることが次第に明らかにされてきている。また、脳損傷後の修復過程でも、反応性アストロサイトから分泌される神経栄養因子が重要な役割を果たしていることが明かにされている。このような状況のなかで、グリア細胞の増殖・分化がどのように調節されているかを明らかにすることが、ひいては、神経系の発生・分化調節、生存維持、脳損傷後の修復過程を理解することにつながることと考えられる。 我々が、神経線維腫より精製したグリア細胞増殖抑制活性を持つ蛋白性因子グリオスタチンは、アミノ酸配列の検索の結果、血小板由来内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)とほぼ同じと考えられた。また、我々は、胎盤よりPD-ECGFを精製し、神経線維腫より精製したグリオスタチンと、グリア細胞増殖抑制活性、血管内皮細胞増殖促進活性を比較したところ、グリオスタチン、PD-ECGFともほぼ同じ活性を示し、さらに我々の作製したモノクローナル抗体でどちらの活性とも阻害された。以上の結果より、グリオスタチンはPD-ECGFとほぼ同一因子と考えられた。さらに、本年度の研究により、グリオスタチンが新しい神経栄養因子であることを見いだした。このグリオスタチンの多彩な中枢神経系での役割を考えると非常に興味深い。つまり、脳発達過程でグリオスタチンは、グリア、ニューロン、血管内皮細胞にそれぞれ異なった作用を発揮しながらニューロン機能を支えている。また、脳損傷後の組織修復過程において、グリオスタチンは損傷後の反応性グリオーシスの制御に関与している可能性もあると思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hotta,T.: "Growth-promoting action of adenosine-containing dinucleo-tides on neuroblastoma cells" J.Neurochem.
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[Publications] Hirano,t.: "Establishment of enzyme immunoassay system for gliostatin/platelet-derived endothelial cell growth factor" Biochim.Biophys Acta.
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[Publications] Hotta,T.: "Neuroblastoma growth factors derived from neurofibroma(NF1):the participation of uridine in a neuroblastoma growth" J.Neurochem.60. 312-319 (1993)
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[Publications] Asai,K.: "Neurotrophic action of gliostatin on cortical neurons" J.Biol.Chem.267. 20311-20316 (1992)
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[Publications] Asai,K.: "A novel glial growth inhibitory factor,gliostatin,derived from neurofibroma" J.Neurochem.59. 307-317 (1992)
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[Publications] Ito,J: "Interaction of sialosyl cholesterol with the cell surface of rat astrocytes and its biological activities" Neurochem.Int.20. 439-499 (1992)