1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞極性に関わるGタンパク質カスケードによる選別輸送機構の解析
Project/Area Number |
04259206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 泰 東京大学, 理学部, 助手 (50229407)
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Keywords | 低分子量GTP結合蛋白質 / Hvo蛋白質 / SRO遺伝子 / 酵母 / BEM1 / CDC42 / RHO3 / RHO4 |
Research Abstract |
出芽酵母より、2つのrasスーパーファミリー遺伝子RHO3,RHO4を単離した。これらの機能は、互いに関連していることを遺伝学的に明かにした。RHO3-RHO4機能を詳細に解析するため、条件的にRHO3-RHO4機能を枯渇させる系を酵母GAL7プロモーターを用いて作製した。RHO3-RHO4機能を枯渇させた細胞では芽の成長に欠損が生じ、小さな芽を出した時点でcell lysisを起こし死ぬ。また、キチン、アクチンフイラメント等の分布より細胞極性が失われていることが観察された。従って、RHO3-RHO4機能は、細胞極性の維持に必要であり、その機能を失った細胞では細胞極性に従って輸送されるべき分泌小胞の輸送に欠損が生じ、芽の成長ができなくなると考えられる。この仮説を証明するためにRHO3-RHO4機能欠損を相補するマルチコピーサプレッサーの単離を行い、9つの遺伝子を同定した(SRO遺伝子)。そのうちのSRO1,SRO2はそれぞれ、BEM1,CDC42遺伝子と同一であった。いづれの遺伝子も細胞極性の確立と出芽開始に必要な遺伝子として同定されたものでこれらの遺伝子がSRO遺伝子として同定されたことは、先の仮説を支持するものである。また、SRO6はSEC4遺伝子と同一であった。SEC4は、分泌小胞がプラズマ膜と融合する分泌の最後の段階で必要とされる遺伝子として報告されている。SEC4と遺伝学的に機能関連のある遺伝子として報告され、やはり分泌小胞がプラズマ膜と融合する段階で必要とされるSEC15遺伝子とSRO遺伝子との関連を解析した。その結果、sec15変異株の温度感受性をSRO3とSRO9はそれぞれ多コピーにして弱く抑圧することが明かとなった。これらの知見より、RHO3-RHO4機能と、分泌のターゲッテング機構とが密接に関連していることが考えられる。
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[Publications] Y.MATSUI: "Isolation and characterization of two novel ras superfamily genes in Saccharomyces cerevisiae" Gene. 114. 43-49 (1992)
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[Publications] Y.MATSUI: "Yeast RHO3 and RHO4 ras superfamily genes are necessary for bud growth,and their defect is suppressed by a high dose of bud formation genes CDC42 and BEM1" Mol.Cell.Biol. 12. 5690-5699 (1992)
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[Publications] R.Ruggieri: "RSR1,a ras-like gene homologous to Krev-1 (smg21A/rap1A):Role in the development of cell polarity and interactions with the ras pathway in Saccharomyces cerevisiae" Mol.Cell.Biol. 12. 758-766 (1992)
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[Publications] T.Yoko-o: "The putative phosphoinositide-specific phospholipase C gene,PLC1,of the yeast Saccharomyces cerevisiae is important for cell growth" Proc.Notl.Acad.Sci.