1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04259226
|
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
平田 肇 姫路工業大学, 理学部, 教授 (40049052)
|
Keywords | タンパク質膜透過 / リン脂質平面膜 / チャンネル |
Research Abstract |
大腸菌細胞膜におけるタンパク質透過に関与するSecA、Y、Eなどの因子がどのような機構で膜透過反応を進行させているか、それが単純な孔(チャンネル)を構成しているのかイオンポンプであるのかまだ不明である。本研究はこれらを明らかにすることを目的に行われた。 まずasolectinによって作製したリン脂質平面膜に、SecY/E大量発現株の細胞膜をオクチルグルコシドで可溶化した標品を直接挿入法でcis側から再構成した。それにより膜抵抗は218Gohmから134Gohmに低下した。これはSecY/Eが平面膜に組み込まれたことによる非特異的なチャンネルによる膜コンダクタンスの上昇を意味する。ちなみに、オクチルグルコシドは膜抵抗を変化させない濃度(終濃度0.05%以下)で加える。そこにSecAを加えると膜抵抗の若干の上昇が見られ(150Gohm)、さらにATPの添加により膜抵抗は175Gohmにまで上昇した。これはSecAとSecY/Eが相互作用し、それがATPによりさらに強化されることを示唆する。そこにSecBによって介助された前駆体タンパク質proOmpAを加えると膜抵抗はもとのレベルにまで回復した。このことはproOmpAがSeeY/Eチャンネルに入り込んで孔を閉塞することを示唆する。なお最近のSimonとBlobelの論文によると(Cell69 677-684(1992))、SecY/Eはシグナルペプチドによって開口するチャンネルであるとしており、タンパク質膜輸送システムについてイオンポンプのような機構を考えるよる妥当と思われる。しかし、イオンチャンネルの場合にはイオン透過の駆動力は数10倍から100倍以上のイオンの濃度差であってチャンネルの開口によって10^6〜10^9イオン/秒の速度でイオンが透過するのに対し、タンパク質輸送の場合にはこれだけの濃度差は考えられず駆動力が何であるかが問題である。今後、これらの点についてさらに検討を進め、蛍光色素で標識したproOmpAを用いて実際のタンパク質輸送現象の解析を行う計画である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Kamata,H.: "Primary Structure of the Alanine Carrier Carrier Protein of Themophilic Bacetrium PS3." J.Biol.Chem.267. 21650-21655 (1992)
-
[Publications] Kamata,H.: "Partial Purification and Reconstirution of Inositol 1,4,5Trisphosphate Receptor/Ca2+Channel of Bovine Lever Microsomes." J.Biochem.111. 546-552 (1992)
-
[Publications] Yamazaki,S.: "Expression of Human Metallothionein-II Fusion Protein in Esherichea coli." Biochem.Interm.28. 451-460 (1992)
-
[Publications] Tsuda,M.: "Interaction of Rhodopsin,G-Protein and Kinase in Octopus Photoreceptors." Photochem.Photobiol.56. 1167-1172 (1992)
-
[Publications] Ando,K.: "Primary Structure of Chitosanase Produced by Bacillus circulans MH-K1." J.Gen.Appl.Microbiol.38. 135-144 (1992)
-
[Publications] Yoshida,N.: "Characterization of an Abnormal Firinogen Osaka V with the Replacement of γ-Arginine375by Glycine.The Lack of High Affinity Calcium Binding to D-Domains and the Lack of Protective Effect of Calcium on Fibrinolysis." J.Biol.Chem.267. 2753-2759 (1992)
-
[Publications] 平田 肇: "日本生化学会編新生化学実験講座第6巻生体膜と膜雪送(上)第3章第5節平面膜へのFoF1-ATPaseの組込みと解析" 東京化学同人, 6 (1992)