1992 Fiscal Year Annual Research Report
ビリルビン抱合酵素の新しいファミリーの遺伝子構造とその欠損機序
Project/Area Number |
04260224
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
井柳 尭 姫路工業大学, 理学部, 教授 (50001699)
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Keywords | 高ビリルビン血症 / 遺伝子病 / グルクロン酸転移酵素 |
Research Abstract |
Crigler-Najjar症候群は先天的にグルクロン酸転移酵素の欠損を伴う疾患である。本研究ではこのモデル動物である高ビリルビン血症ラット(Gunnラット)を用いて、ビリルビン抱合酵素の遺伝子構造とその欠損機序を検討した。以下にその概要を記す。 私共はグルクロン酸転移酵素ファミリーの一群には基質結合ドメインを異にし、同一のアミノ酸配列よりなる共通のUDP-グルクロン酸結合ドメインを持つキメラ酵素群が存在することを最らかにしている。今回これらキメラ酵素群を指定する遺伝子の構造解析を行った。その結果、5'上流に基質結合ドメインを指定するエクソンが約10kb間隔でクラスターを形成して配列(現在9個を確認、その内ビリルビンの抱合に関与するものは5個である)しており、3'下流にこれらアイソザイムに共通なUDP-グルクロン酸結分ドメインを指定するエクソンが1ヶ所存在する新しい遺伝子構造を有することが判明した。全体として約200kbの大きな遺伝子である。Gunnラットの遺伝子では、アイソザイムに共通なUDP-グルクロン酸結分ドメインにフレームシフトを伴う1塩基の欠失が見いだされた。この結果は、この疾患ラットに複数個のアイソザイムが同じ個体に同時に欠損する原因となることを示す。又、正常遺伝子の基質結合ドメインにもフレームシフトを伴う異常が見つかった。これらの結果は、酵素を完全欠損あるとは、部分欠損に導く原因となる。これらの研究成果により、ヒト疾患のヘテロジェナイティーを遺伝子の構造レベルで解析する基礎が確立された。
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[Publications] T.Iyanagi: "Moleccular Basis of Multiple UDP-glucuronosyltransferase Isoenzyme Deficiencies in the Hyperbilirubinemic Rat(Gunn Rat)." J.Biol.Chem. 266. 24048-24052 (1991)
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[Publications] B.Burchell: "The UDP-glucuronosyltransfease gene superfamily-Suggested nomenclature based on evolutionary bivergence" ,DNA and Cell Biol. 10. 487-494 (1991)