1992 Fiscal Year Annual Research Report
トウモロコシの転移因子Ac/Dsの異種高等植物への導入と転移
Project/Area Number |
04262209
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
飯田 滋 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (30012777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 力 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (40190764)
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Keywords | 高等植物 / 転移因子Ac / Ds / トランスジェニック植物 / 植物バイオテクノロジー / 非相同性組換え / DNA再編成 / 形質転換 / トランスポゾン |
Research Abstract |
トウモロコシの転移因子Acは4.6kbの因子で自ら転移するのに必要な転移酵素遺伝子を持っているが、大部分のDsは転移酵素遺伝子中に欠失を持った因子である。本研究ではAcやDsを含む種々のプラスミドベクターを異種植物のタバコやイネに導入、トランスジェニック植物体での、種々のAc/Ds誘導体の転移能や転移後の植物染色体上の挿入部位の構造解析を行い、導入転移因子の転移機構や植物染色体上でのDNA再編成、さらには植物遺伝子発現への影響などを解明せんとするものである。Acの転移酵素遺伝子とDsが脱離するとHm^rとなるようなhph遺伝子をイネ及びタバコのプロトプラストに同所に直接法で導入、Hm^r形質転換体を分離、トランスジェニック植物を作出して導入外来遺伝子の植物染色体への挿入を検討すると、(a)hphだけ、(b)hphとDs、(c)hphと転移酵素遺伝子、(d)hph、Ds、転移酵素遺伝子の三者を持つものに大別された。これらの内で(b)hphと4コピーのDs(Ds-a,b,c,d)だけをもつイネの一系統についてさらに詳細な構造解析を行った所、Ds-bとDs-cは導入したDsがそのままの構造で別々の染色体に挿入されており、各々8bpの標的重複も観察された。一方Ds-aとDs-dは、共にDs-bやDs-cとは異なる同一染色体上に互いに3kbだけ離れて挿入されており、両者とも非正統的組換え(illegitimate recombination)によると考えられるDNA再編成が観察された。Ds-aは内部に0.2kbの欠失があり変則的な標的重複を起こしていた。Ds-dは8bpの標的重複が観察されたが、その内部にはHm^r遺伝子を含む導入プラスミドの配列が挿入されており、このHm^r遺伝子内にはDsの脱離に伴って起こるフットプリントも存在していた。これらの結果は、Ac/Dsの転移はDNA複製と関連があり同一染色体上の近傍に転移するという従来の遺伝学手知見とは異なり、直接法により導入されたAc/Dsは一過性の発現により生じた転移酵素の作用により染色体上に挿入して、複製されなくても転移し得ることを示唆しているものと思われる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Sandmeier: "DNA inversion regions Min of plasmid p15B and Cin of bacteriophage P1:Evolution of bacteriophage tail fiber genes." J.Bacteriol.174. 3936-3944 (1992)
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[Publications] S.Iida: "Expression of a downstream gene from a bicistronic transcription unit in transgenic tofacco plants." Gene. 119. 199-205 (1992)
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[Publications] 飯田 滋: "植物の転移因子とトランスポゾンタギング" 蛋白質核酸酵素. 37. 695-709 (1992)
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[Publications] 杉田 耕一: "転移因子を利用した高等植物の染色体操作" 日本農芸化学会誌. (1993)
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[Publications] K.Shimamoto: "Trans-activation and stable intergration of the maize transposable element Ds cotransfected with the Ac transposase gene in transgenic rice plants." Mol.Gen.Genet.(1993)
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[Publications] 飯田 滋: "高等植物における未知トランスポゾンの探索と既知トランスポゾンの異種植物への導入" 薬学研究の進歩. (1993)
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[Publications] 飯田 滋(分担執筆): "開花・結実の分子機構" 秀潤社, 290 (1992)