1992 Fiscal Year Annual Research Report
イヌの冠動脈における一酸化窒素合成酵素についての研究
Project/Area Number |
04263213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長尾 拓 東京大学, 薬学部, 教授 (30217971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 純 東京大学, 薬学部, 教務職員 (50230397)
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Keywords | 内皮由来血管弛緩因子 / 一酸化窒素 / カルシウムイオン / バリウムイオン / 冠動脈 / カルモジュリン |
Research Abstract |
近年,Ca^<2+>-カルモジュリン依存性の一酸化窒素(NO)合成酵素が小脳および血管内皮細胞から精製されているが,局部的な内皮由来血管弛緩因子(EDRF)/NOの機能の解明は今後の問題である。これまで脇々はイヌ冠動脈で部位特異的な内皮依存性弛緩反応ー高カリウム脱分種下でCa拮抗薬存在時にCa^<2+>が内皮依存的に弛緩反応を惹起する現象ーを見出してきた。この現象について,2価イオンのhandlingや酵素系の特徴を明らかにすることが当研究課題の目的であった。その結果として,1.EDRF/NOの関与,2.部位・種特異性,3.他の2価イオンの弛緩作用について新たな知見が得られた。1.について,有機Ca拮抗薬ジルチアゼム処置下でCa^<2+>添加によって起こる弛緩作用は,内皮依存性であり,NO合成酵素阻害剤で抑制され,シクロオキシゲナーゼ阻害剤では影響されなかった。また環状GMP量が増加したが環状AMP量は変化しなかった。以上から,この弛緩反応がL-アルギニンからNO合成酵素によって内皮で産生されたNOの遊離を介して起こる反応であることが明らかになった。2.について,この弛緩反応はイヌの冠動脈に特徴的であり,腸間膜・腎動脈などでは見られなかった。ブタやウサギの冠動脈においては,顕著なCa弛緩は起こらなかった。従って,この反応が部位特異性・種特異性があることが示唆された。3.について,Ca^<2+>の代わりにSr^<2+>,Ba^<2+>も内皮依存的にEDRF/NOを介するイヌ冠動脈弛緩反応を起こした。Ba^<2+>はカルモジュリンとの親和性が低いと報告されているが,本成績によると,最も強い弛緩反応を有した。本研究で明らかになった弛緩反応は,部位・種の点から特異的である上に,従来理解されているCa^<2+>-カルモジュリン-NO合成酵素系では説明できない点が有る。この点を明確にすることが,EDRFの局部的な機能を説明する端緒になると思われる。
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[Publications] Kikkawa: "Prophylactic effects of a new 1,5-benzothiazepine calcium antagonist on stroke in salt-loaded stroke-prone spontaneously hypertensive rats" Arzneim-Forsch./Drug Res.42. 781-786 (1992)
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[Publications] Murata: "Cerebral vasodilating and spasmolytic actions of a new Ca-antagonist,clentiazem(TA-3090),in anesthetized animals" Cardiovasc Pharmacol. 19. 790-797 (1992)
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[Publications] Yamazaki: "Maintenance of N^G-monomethyl-L-arginine-induced pressor response at developmental and established stages in spontaneously hypertensive rats" The biology of nitric oxide Part1-Physiological and clinical aspects. 177-179 (1992)