1992 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタサイクリンによる血管内皮細胞と平滑筋機能の制御に関する研究
Project/Area Number |
04263225
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 厚 京都大学, 薬学部, 教授 (10025695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 学 京都大学, 薬学部, 助手 (60201696)
福井 哲也 京都大学, 薬学部, 助教授 (90111971)
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Keywords | プロスタサイクリン受容体 / 血管内皮細胞 / 平滑筋細胞 / 光親和性標識プロスタサイクリン / 肥満細胞 |
Research Abstract |
本年度の研究計画に従い、以下の知見を得た。 1.平滑筋や肥満細胞でのプロスタサイクリン(PGI_2)作用の研究: (1)培養癌化肥満細胞に、促進性G蛋白共役型のPGI_2受容体が高濃度存在することを見いだし、その受容体の結合特異性とG蛋白共役によるアデニル酸シクラーゼの活性化機構を解析した。 (2)PGI_2受容体の実体はいまだ確認されていない。そこで、光標識誘導体による確認を検討し、イソカルバサイクリンにアジド基を導入した〔 ^3H〕標識体、15ー〔 ^3H〕ー19(3ーazidophenyl)ー20ーnorisocarbacyclin(APINC)を合成し、癌化肥満細胞のPGI_2受容体を光標識し、SDSゲル電気泳動により分子量43kDaを確認した。これらPGI_2受容体は、G蛋白と共役し、PGI_2に特異的でPGE^1がクロスするものであることが判明した。 (3)ブタ血小板のPGI_2受容体の分子量を、同様な方法により52kDaと同定した。現在、平滑筋細胞の受容体の同定を行っている。尚、PGI_2産生細胞であるウシ血管内皮細胞には受容体の存在を確認できなかった。 2.血管内皮細胞におけるプロスタサイクリン産生系の研究:虚血時の血管内皮細胞でのPGI_2産生を調べるために、培養ウシ大動脈血管内皮細胞を低酸素条件で培養し、まず低酸素による細胞増殖への影響を検討した。細胞のPGI_2産生に及ぼす低酸素の影響を検討中である。 3.平滑筋細胞、肥満細胞におけるPGI_2受容体の遺伝子研究:(1)マウス癌化肥満細胞のPGI_2受容体cDNAを、我々が先に行ったトロンボキサンA_2受容体cDNA、あるいはPGE_2受容体cDNAのホモロジー・スクリーニングで単離を試みたがまだ成功には至っていない。光親和性標識による単離は、理論的に可能であるが経済的に現実的でないことがわかった。
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[Publications] Tomonobu Koizumi: "Induction of heme oxygenase by Δ^<12>-prostaglandin J_2 in porcine aortic endothelial cells" Prostaglandins. 43. 121-131 (1992)
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[Publications] Seiji Ito: "Identification of the prostacyclin receptor bu use of [15- ^3H_1]19-(3-azidophenyl)-20-norisocarbacyclin,an irreversible specific photoaffinity probe" The Journal of Biological Chemistry. 267. 20326-20330 (1992)
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[Publications] Tohru Sawai: "Enhancement by protein kinase C of prostacyclin receptor-mediated activation of adenylate cyclase through a calmodulin/myristoylated alanine-rich C kinase substrate (MARCK) system in IC2 mast cells" The Journal of Biological Chemistry. 268. 1995-2000 (1993)